オリックス田口壮新二軍監督「走ってもらう」就任会見詳報
オリックス・バファローズは5日、京セラドーム大阪に於いて田口壮新二軍監督の就任会見を行った。
2015/10/05
田口新二軍監督質疑応答
――就任した現在の気持ちは?
田口新二軍監督「責任を感じている部分と、身が引き締まる思いが凄くありますね」
――二軍監督の打診を受けた時の最初の気持ちは?
田口新二軍監督「最初ですか? 悩みました。二軍監督ということですから、選手を育てなきゃいけないという立場ですよね。そんな中で僕に何ができるんだろうと考えて、そこで不安が、何をこう…まあ整理をすればいろいろ出てくるんでしょうけど、パッと何も思い浮かばなかったという自分がいましたから。そういう状況でした。迷ったというか、不安がやっぱり来ましたね」
――そんな状況から決断に至った過程は?
田口新二軍監督「瀬戸山さんや加藤(康幸編成部長)さんと何回か話をさせていただきました。その中でプロとして入団した球団でもありますし、アメリカに行ったあとに帰ってきた球団でもあるし、お世話になった球団でもあります。福良さんが監督になられるというのもあったんですね。福良さんに僕は入団して一から野球を教えていただいたので、福良さんの支えになれるんだったらという思い、それから球団の皆さんの思い、そして宮内オーナーが同じ関学ですから、凄くかわいがっていただいたので、それもありました。仰木監督とも生前ずっとそんな話をしていたんですね。2005年に亡くなる時に『最終的にちゃんと宮内さんを笑顔にさせるぞ』という話をしてましたし、そんないろんな思いがあって、やらせていただくことにしました
――やはりオリックス愛が強かった?
田口新二軍監督「もちろんウチの球団は大好きです。それは間違いないんじゃないですか」
――理想とする監督像は?
田口新二軍監督「監督像と言いましても二軍ですから。いかに育成のシステムを構築できるかということだと思っているんですね。全く監督像というのはないです。福良監督もそうですし、球団全員で考えていって、いいシステムを構築する。その中の僕は一人だと思っています」
――ここ数年外からオリックスの育成を見ていて必要だなと思うところは?
田口新二軍監督「そのことに関しては何もないです。今までの3年間は部外者ですから、外から見ての感覚というのはあるんですけど、それを今この場で語っても全く意味がないことだと思っています。やはり中に入ってみないとわからないことがたくさんあると思うので。まずは真っ白な気持ちで中に入る。そこからだと思います」
――そういう意味では選手を把握して、強化したいというのを自分の感覚で見ていく?
田口新二軍監督「自分の感覚というか、みんなと意見を交換しながら、検証して何が一番いいのかという道を探っていくということですよね」
――これまで日本人のメジャー経験者でNPBの監督はいないが、メジャーの経験を活かしたい気持ちは?
田口新二軍監督「皆さんアメリカの経験を…とおっしゃると思うんですが、全くシステムが違うし、全く環境が違うので、それを丸々入れられるかといえば僕は違う、と思っているんですね。いろいろ実行してみて検証する、その繰り返しになると思います」
――やってみたいことや楽しみにしていることは?
田口新二軍監督「若い選手が出てくることを楽しみにしていますし、選手に対して確実に言えるのは走ってもらうことと、元気を出してもらうことだと思うんですよね。とにかく元気がないと何もできないんですよ。エネルギーがないといけないし、メッセージを下からどんどん。僕たちもそうですけど、選手たちも『上にあげてくれ』というメッセージを発しないと、上に行っても活躍できないと思うんでね。
今日からフェニックスリーグ始まっていますけど、僕はまだNHKさんとの関係があってワールドシリーズにも行かなければいけません。フェニックスリーグには行けないんですけど、ちゃんと毎日スコアがあがってくるようにはなっています。その中でメッセージをね、選手個人がどう送ってくるか、もう既にチェックするようにはしていますし、離れていても誰々という選手が頑張ってますよっていうのが、一人でも二人でも出てきたらうれしいなって。メディアの方を通じて申し訳ないんですが(笑)」
――走るというのはどういう意味があるのか?
田口新二軍監督「これは3年間外から野球を見て来て、いろんな監督やコーチに話を聞いてまわったりとか、練習見てまわったりとかしてアンケートを取った結果です。最近の子は走らないという(笑)ランニングはしないという結果が出ているので、ちゃんとデータを活かしていきたいですね」
――福良監督とはどのように連携を取っていきたいか?
田口新二軍監督「常に連絡は取ると思います。今までもずっと取ってましたし、食事したりとかもずっとしていましたけど。今まで以上に連絡は取るでしょう。福良監督の要望にキッチリ応えられるように、常に準備をしていくというのが、我々の仕事だと思っていますから。ちゃんと準備をしておいて気持ち良く福良さんと会話がしたいですね」
――今回の就任に関しては福良監督と話をしたのか?
田口新二軍監督「最初に電話した時、福良さんに『僕でいいんですか?』って話して、まだ福良さんが本当に一軍の監督になるのかもわからなかったですから、そんな確認もして。福良さんだったら一生支えてもいいやと僕は思っているぐらい、育ててもらったというか、全てを教えていただいた方なので。全て言いなりなんですよね(笑)。最初に話をした時に『やれよ!ユニフォーム着なきゃアカンぞ』と言われたので」
――オリックスのユニフォームに久々に袖を通すことになるが?
田口新二軍監督「通してみなければわからないんですよね。でも立場も変わりましたからね。自分が結果を出せばいい世界とは全く違う立場なので。どうなっていくか不安は残っています。そんな中で袖を通したらまた緊張感が持てると思いますね」
――これから田口監督と呼ばれることについてどう思う?
田口新二軍監督「あんまり監督という感じはないですね。オリックスという球団の監督は福良さんです。本当に支える中の一人だと思います」
――最後に抱負を
田口新二軍監督「体が強くて元気があって気持ちで負けない選手を下からどんどん上に送り出せるように、福良監督を胴上げできるようにしたいですし、宮内オーナーにも笑っていただけるように、球団関係者にもこの体制にして良かったと言ってもらえるように、下から支えたいと思っています。下から全員同じ方向をね、職員の方も含めて、いいオリックスファミリーができたらいいかなと思っています」
会見後の囲み会見で田口新二軍監督は、球団からオファーがあったのが9月半ばだったこと、一軍監督が福良監督でなかったら答えが変わっていたかもしれないこと、イチローにはシーズン終了後に報告すること、背番号はまだ決めていないことを明らかにした。
育成はここ数年のオリックスの重要課題だっただけに、福良監督・田口二軍監督体制で強化を図れるか。
今年終盤に一軍で経験を積んだ若月健矢や、ファンが待望論を唱えている奥浪鏡のような将来有望な若手選手は二軍にたくさんいる。
田口新二軍監督が会見で語った「元気」という言葉は、今年のオリックスに求められていたこと。二軍から元気で戦力となる選手を送り出してもらいたい。
会見取材・構成・文/どら増田(ベースボールチャンネル オリックス担当)