大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



Home » コラム » 日本人内野手はなぜ、MLBで通用しない? 野球界に求められるジュニア世代からの育成改革【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】

日本人内野手はなぜ、MLBで通用しない? 野球界に求められるジュニア世代からの育成改革【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】

読売ジャイアンツなどでプレーし、その後ロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウトとして当時、黒田博樹投手や齋藤隆投手の入団に携わった小島圭市氏の連載。小島氏は現在、(株)K’sLabを立ち上げ、スポーツ環境の向上から青少年の育成に積極的に関わっています。今回のテーマは、「昨今、MLBでは苦悩が続いている日本人内野手」について。過去に数多くの選手が挑戦していますが、成功と言える成果を残せたのは、井口資仁選手(千葉ロッテ)くらいではないでしょうか。日本では首位打者や盗塁王のタイトルなどを獲れているのに、MLBでは通用しない。その要因はどこにあるのでしょうか。また、日本人からスーパースターは生まれないのでしょうか?

2014/10/27

text By

photo

Getty Images



内野では身体的な強さ、体力の差が顕著に表れる

 日本人内野手がMLBでの苦悩が続いていますが、元スカウトの立場からの意見ですと、技術が物足りないと感じていました。ボールを捕ること、投げること、打つことなどにおいてです。その根底にあるのは体力差であると思います。
 
 ただ、それは身体の大きさ・小ささということではありません。身体が大きいから、アメリカでプレーしている選手には勝てないという声を耳にします。「パワーが違う」と。
 しかし、私は、そうではないと考えます。
 
 実際、アメリカにはTrendというものが存在しました。カル・リプケン・ジュニア選手という大型でバッティングのいい選手が出てきまして、その時から、彼のようなタイプの選手を二遊間のスカウティングに、比重をおくようになったのです。
 
 そして、A・ロッド選手などが出てきました。これはTrendなんですね。しかし、大型選手はバッティング面は良いものの、ディフェンスにおいて失う点も多いというのもありました。
 やがて2、3年前からは、守備にプライオリティをおいた選手という傾向に切り替わってきました。
 
 これはTrendですので、どちらが正解というわけではないのですが、私は、常々日本人にもチャンスはあるといってきました。でも、体力差が縮まらないと難しいというのが私の意見です。
 
 MLBでショートのレギュラーポジションをとっている選手は、とにかく身体が強いという印象が大きいです。その差が絶対的にあります。例えば、MLBの遊撃手が三遊間のゴロをさばいて、踏ん張らずに投げるシーンを見たことはありませんか?
 
 身体を最大限にひねってターンして投げる。その踏ん張らないで身体をターンさせる動作には、身体の強さ、バランスがあるからできるのです。そこがMLBの選手が優れている点です。日本人選手の多くは踏ん張って投げる傾向にあると思います。そうすると、ワンテンポ、プレーが遅れてします。そこの差なのです。
 
 日本の場合だと人工芝ですから、踏ん張ったとしても、ステップを小さく踏んで計算しながらでないと止まれない。
 一気に止まろうとしたら、足首をひねるなど、足首を痛めてしまう危険性があるからです。
 また、人工芝だと打球が速くなってしまいます。速い打球が飛ぶと抜けてしまうために、選手たちが追う打球の範囲が狭くなっているのです。そうしていくうちに、徐々に守備範囲が狭くなっていくのです。
 
 土のグラウンドの時に、いざ、動けるかといったら、そうとは限らないのです。

1 2 3