木下雄介、戸田懐生…球速アップの専門家が語る独立リーグで“大化け”した選手の共通項
2022/06/29
産経新聞社
ヤンチャを逆手に取った木下、“握力”という弱点を克服した戸田
これまで、実に21人もの選手をNPBに送り出し、科学的根拠に基づいた動作指導で多くのプロ選手、アマ選手の指導を行う殖栗正登さん。今年5月には初の著書「ピッチャーズ球速向上プログラム」を発売した殖栗さんに、プロに行った選手の中から「印象深い教え子」を語ってもらった。(前編)
――殖栗さんが徳島インディゴソックスを指導してから、毎年ドラフトに指名される選手が出てきましたね?
殖栗 今季で10年目になります。
――徳島は殖栗さんが指導を始めた翌年の2013年から昨年まで、毎年ドラフトでNPBに選手を輩出しています。殖栗さんの指導受けて球速が飛躍的にアップした投手も多いと思うのですが、特に思い入れの強い投手などはいますか?
殖栗 プロでも活躍してくれている選手で言えば、巨人の戸田懐生、それと昨年亡くなってしまいましたが中日に行った木下雄介は印象に残っています。もしまだ元気でいてくれたら、さらにすごい投手に成長していたんじゃないかな……。あとは2014年のドラフトで楽天に入団した入野貴大(※2018年退団)も印象深い選手でした。
――入野投手はNPB通算30試合、1勝を挙げただけで現役を引退されましたが、どういうところが印象に残っていますか?
殖栗 僕が徳島に行って移籍して入ってきたんですけど、当時すでに25歳、学年で言えば26歳の代だったんですね。プロ入りを考えるともうラストチャンス。それでも「どうしてもプロに行きたい」と言っていて、トレーニング指導等で球速が145キロくらいから153キロまでアップしたんです。それで念願のプロ入り。入団時の26歳はその年の新人では最年長でした。
1年目はそれなりに一軍で投げたんですけど、2年目に怪我をしてプロ生活は残念ながら短かった。ただ、崖っぷちからプロ入りまでたどり着いたという意味でも、すごく思い出深い選手です。