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イチロー・マートン・秋山翔吾に共通する四球の少なさ。歴代最多安打記録男の特長【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回はイチロー、マートン、秋山の歴代最多安打記録保持者についてだ。

2015/12/26

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3人の打者の共通点

 記録を更新したイチロー、マートン、秋山翔吾の記録を詳細に比較しよう。参考までに2004年、イチローがMLBの最多安打記録を更新した時の数字も紹介する。

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 最初に目につくのは打席数の多さだ。当然の話だが、多くの安打を打つためには、より多くの打席に立たなければならない。
 マートンを除く3例がリーグ最多打席。マートンも2位だ。
 打順はマートン以外ほぼ1番に固定されている。
 1試合あたりの打席数は4.7を超える。ほとんどの試合で5回打席に立っていたのだ。

 塁打数を安打数で割った平均塁打は、長打力を表す。ホームランバッターは2.0を超す。 中距離打者は1.6前後。
 4例ともに短距離打者の数字。特に2004年のMLBのイチローの記録は非常に低い。

 1試合あたりの安打数はイチローの2例が1.6を超え、マートン、秋山よりもかなり多い。この数字に143をかけた143試合換算の安打数では、イチローは230安打以上を打つことになる。
 マートン、秋山は1994年のイチローよりも1割以上試合数が多かった。改めてイチローの数字の凄さがわかる。

 マートン、秋山は安打記録を更新したが、首位打者にはなっていない。2010年は青木宣親(.358)、2015年は柳田悠岐(.363)という強力なライバルがいたからだ。

 左右別の打率を見ると、左打者のイチロー、秋山も左投手の打率のほうが高い。良い左打者は左投手を苦にしないのだ。

 3人に共通するのは「四球の少なさ」だ。四球が多いと安打数は増えない。じっくりと球を見るのではなく、好球必打で積極的に打っていく必要があるのだ。ISODは、「安打以外=四死球での出塁率」。選球眼を表す数値だ。3人(4例)ともに、リーグ順位は真ん中より下。

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