【ドラ1の知られざる苦悩】元ヤクルト荒木大輔(1)早実に1年生エースが誕生した理由
2022/10/14
産経新聞社
兄の後を追って、早稲田実業へ
次のはっきりとした目標を見据えたのは、中学校へ進学前の春休みのことだった。早稲田実業に進んでいた次兄の健二が77年、春の選抜大会に出場したのだ。
野球の好きだった父親は家族、親戚、仕事の関係者のためにバスを貸し切った。荒木もバスに乗り甲子園に向かっている。
「アルプススタンドに圧倒されました。プロ野球の試合を観るのに神宮球場には行ったことがありました。でも、甲子園は器(の大きさ)が違ったというか。ここでやりたいと憧れましたね。もう本当に洗脳されたような感じでした」
健二は三塁手として出場、早稲田実業は準々決勝で奈良県の智辯学園に敗れた。健二は高校2年の春と夏、高校3年生の春、夏と4度、甲子園を踏んでいる。
「(次)兄がグローブ、バット、スパイクとか買ってもらっていたんです。頑張れば自分も買ってもらえるかなと。ゴロの捕り方にしても脚を動かしながら、と兄が教えてくれた。チームの監督やコーチに言われるよりも自分が目標にしている人が言われるのが一番聞きますよね。ぼくの場合はそれが兄だった」
そして荒木は兄の後を追って、早稲田実業に進学した。