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ホークスとの対決で見えた、公式戦へ向けた『駆け引き』の始まり【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#25】

開幕まで1週間を切った。この時期のオープン戦はいよいよ始まる公式戦を見据えた戦い方が見受けられる。

2016/03/19

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すでに公式戦への神経戦がスタート

 ていうか、僕は野球の面白味は「プレッシャーのやりとり」にあると思うので、「挨拶代わりに思いきり振る」は本チャンが既に始まってるとも言える。ここまで投手vs打者の話ばかりしたが、この日、本チャンが始まっていたのは守備や走塁にも言える。
 
 一例を挙げる。7回表だ。ファイターズの投手は新外国人のマーティン。ソフトバンクとしては球筋を見ておきたい新顔だ。2メートル超の上背から投げ下ろす投球は、今季、脅威となりそうだ。今のところ中継ぎでフル回転しそうな評判である。
 
 マーティンは簡単に2死を取った後、本多雄一に四球を与える。と、本多はすかさず盗塁だ。捕手・市川友也の送球がワンバウンドしたこともあったが、それ以上に完全にモーションを盗まれていた。これはソフトバンクが本番前にプレッシャーをかけているのだ。マーティンに、市川に、そしてファイターズベンチに「モーション大きいからフリーパスだぞ」と脅しをかけている。
 
 これでファイターズ側は考えるようになる。バッテリーは走者を出さないよう投球に神経をつかうし、走者を出したら余計な警戒を強いられる。オープン戦のひとつの盗塁が、敵に長期にわたってプレッシャーを与える。
 
 この日はレアード、陽、中田にホームランが飛び出し、新聞の見出しをつくる材料にはこと欠かない試合だった。春の陽気に恵まれ、観客は文句なく楽しかったと思う。そして、これが大事なところだが「野球を見た後、野球を見たくなる」試合だった。これから始まるペナントレースの激闘を予感させ、両チームのファンが期待感を高める内容だった。プロ野球開幕が持ち遠しい。この気持ちはどんな不祥事を持ってこられても消せはしない。
 
バント失敗、緩慢な守備……「ファイターズ野球をおろそかにするな」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#26】
 
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