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「新球」と「上から目線」。成瀬善久が歩み始めた復権ロード【新・燕軍戦記#24】

東京ヤクルトスワローズにとって初のFA獲得投手として大きな期待をかけられながら、移籍1年目の昨シーズンは不本意な成績に終わった成瀬善久。かつてはパリーグを代表する左腕といわれたその成瀬が今、復権に向けて歩み始めた。

2016/05/24

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昨秋から取り組んだ「ワンシーム」の習得

 またしても勝ちは付かなかった。だが、復活の兆しは確実に見えてきた──。
「(チームが)勝ったんで良かったです」
 5月20日の横浜DeNA戦(神宮)。7回を3失点でしのいだヤクルトの成瀬善久(30歳)は、自身に勝ちが付かなかったにもかかわらず、チームが勝ったことに対する喜びを口にした。

 今シーズンはここまで7試合に登板して2勝2敗、防御率4.28。5月13日に一軍に復帰してからは同日の巨人戦(東京ドーム、8回1失点)、そしてこの日と2試合連続でクオリティ・スタート(QS) を記録するなど、先発としての役割を果たしている。

 その成瀬を、ヤクルトの真中満監督は「去年に比べると安定している」と評する。
「新しいボールが加わって、より低めを意識して投げているのはすごく伝わります」

 思えば去年──2015年は、成瀬にとっては実に不本意なシーズンとなってしまった。ヤクルトが初めてFAで獲得した投手として千葉ロッテから移籍しながら、14試合の登板で3勝8敗、防御率4.76。勝ち星、防御率とも、初めて一軍で投げた2006年以降では自己ワーストだった。

 7月31日を最後に、一軍マウンドに上がることはなし。チームは14年ぶりのリーグ優勝を成し遂げたものの、貢献したとは言い難かった。「今年こそ」の思いで、成瀬が新たに取り組んだのが新球「ワンシーム」の習得だった。

「本格的に取り組んだのは秋のキャンプからです。でも、高校のころから遊びでは投げていたので、(覚えるのは)そんなにしんどくはなかったですよ」

 右打者なら外角に沈みながら逃げ、左打者には内角に食い込むこの「新球」が、成瀬のピッチングを変えた。今季初登板を白星で飾った3月30日の阪神戦(神宮)では、6回までに奪った16個のアウト(盗塁刺を除く)のうち、9個までがゴロによるもの。6回2失点で2勝目を挙げた4月12日の巨人戦(神宮)も、18個のアウトのうち半数の9個がゴロと、アウトに占めるゴロの割合が大幅に増えた。

「それは去年の秋から我々(首脳陣)がリクエストしてきたことというか……フライアウトを取る今までのスタイルだと、(球場の狭い)神宮ではそれがフェンスオーバーしてしまうことがありますからね」

 伊藤智仁投手コーチは、現在の成瀬の投球スタイルについてそう話す。

「『神宮で勝つためにはゴロアウトを増やさないと厳しい』という話をして、それで本人も新しい球種にトライしたんだと思います。低めに投げる意識も出てきたんじゃないですかね」

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