中日・堂上直倫、不動のショートへ立ちはだかる高い“心”の壁
今季、中日ドラゴンズのショートのレギュラーポジションを掴みかけているのが、堂上直倫だ。その座を不動のものとするには何が必要なのだろうか。
2016/06/22
プロ野球選手として磨くべきは技術よりハート
谷繁元信監督の下で再建を推し進める中日ドラゴンズでは、次代を担うべき新たな力が少しずつ花を開かせている。その中で“ようやく”という感があるのが堂上直倫だ。
元中日投手で、球団職員も務めた堂上 照を父に持ち、地元の愛工大名電高で活躍した大型遊撃手は、ドラフトでも中日、巨人、阪神が1位入札で競合。抽選の末に、3歳上の兄・剛裕(現・巨人)と同じく、子供の頃から憧れてきたドラゴンズのユニフォームに袖を通すことになる。
入団当時の監督だった落合博満は、堂上の潜在能力の高さと課題をこう語っていた。
「直倫の内野守備は、プロの世界でもトップクラス。ただ、欲がないというか、のんびりしすぎている。お兄ちゃんは努力家だけど融通が利かなくて、兄弟二人の性格を足して2で割ると、いい選手になるんじゃないかと感じることがある」
1年目からファームでサードの定位置を与えられ、打率.244、5本塁打36打点を挙げると、大きなチャンスが3年目に訪れる。
井端弘和(現・巨人コーチ)の故障で二塁手として出場機会を得ると、82試合に出場して打率.263、5本塁打30打点をマーク。クライマックスシリーズ、日本シリーズでもスタメン出場を果たすなど、大きな飛躍を遂げたのだ。
ところが、そこで落合が懸念していた欲のなさが顔を覗かせる。春季キャンプで体調を崩したり、小さな故障で自分から戦列を離れたり……。2012年に高橋周平が入団すると、アライバ・コンビの後継者候補という声も聞かれなくなり、いつしか守備固め要員になってしまう。