復帰したバンデン、ベテランや伸び盛りの若手が続々一軍へ。ホークスV3へカギを握る筑後組
ホークスV3に向けて、二軍の筑後で調整してきた選手たちがいよいよ一軍で戦力となる時がきた。
2016/09/15
二軍で結果を残している選手達にもチャンス
そして、ホークスの魅力の一つである“層の厚さ”。誰かが不調の時は、他の誰かが活躍する。今季も、これまで多くの日替わりヒーローが誕生してきた。交流戦でMVPを獲得した城所龍磨の活躍はそれを象徴する。レギュラーのみならず、一軍登録メンバーの層は厚く充実していたため、ファームにも多くの戦力が待機中だったが、付け入るスキはしばらくなかった。
しかし、ファームの選手たちは、上のレベル、状況を受け止めつつも、腐らずひたすら前を向いてきた。強いチームだからこそ、上に上がるには底知れぬ努力が必要。昨季までウエスタンリーグを4連覇してきた選手たちは、新本拠地の灼熱の筑後で大量の汗を流し、今年も史上最長のV5を、まもなく手中に収めようとしている。
その中心メンバーでもあった江川智晃。8月24日に一軍昇格し、即スタメン出場すると、重苦しいゲーム展開の均衡を破る先制ソロ本塁打を放ち、一躍ヒーローに。
「まさかです。昨日まで(筑後の)暑い中やっていて、今ここに立てているのが信じられません。ずっと悔しいシーズンだと思ってて……腐らずやってきてよかった」
二軍では今季通算100本塁打を達成。手放しに喜べるものではないかもしれないが、一軍との兼ね合いもある中でも、いつでもチャンスをつかめるように、後悔しないようにと1球1球、感謝して挑んできた素晴らしい結果だ。
「俺が活躍することで、俺も頑張ってたらやれるんだと二軍メンバーの励みになれば」と、ライバルながらも悔しさを共にし、切磋琢磨してきた仲間への想いを口にした。さらに、主砲の柳田悠岐がケガによるまさかの離脱。代役3番に抜擢された江川は、「頼みますよ~」と言われたという柳田の想いも背負ってなのか、早出練習の時には“ギータTシャツ”を着用。優しい救世主は、様々な想いと共に、積極的にバットを振り抜く。
さらに、終盤に意外な?初昇格もあった。4年目の真砂勇介、昨季7月末に支配下選手登録された5年目の釜元豪が、この時期に初の一軍昇格を果たしたのだ。真砂が昇格した際、水上二軍監督は、「一軍が満身創痍、危機的状況の中、途中出場で打って守れて走れる選手が求められたので、今は真砂が良いですよと推薦した」と話していた。
真砂はチーム事情もあり、出場機会なく昇格後2日で降格したが、このピリピリした状況下で、しかも初昇格したという事実だけでも、彼への期待感が物語られる。
釜元もウエスタンリーグで現在盗塁王。7月にはウエスタン月間MVPの活躍を見せていて、真砂と同様に、期待が込められている。
ドーム球場なのに真っ黒に日焼けした選手の姿が、日に日に増えてきた。何とも似つかわしくない光景だ。悔しさを経て、力を蓄えてきたきた筑後の仲間達が、危機を救い、層の厚いホークスはチーム全員で、V3をつかみにいく。