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巨人・鈴木尚広、通算盗塁成功率歴代トップに。規定打席未達、代走最多盗塁男が打ち立てた新たな偉業

巨人の鈴木尚広が27日の試合で自身228個目の盗塁に成功。通算盗塁成功率で広瀬叔功を抜いてトップに立った。失敗の許されない重要な場面での起用が多いだけに、この記録の持つ意味は大きい。

2016/09/28

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鈴木だけが、ほぼ代走で稼ぐ

 以下は通算盗塁成功率トップ10のランキング(200盗塁以上・戦後の選手に限る データは『Baseball Reference』を参照している。
 
1.鈴木尚広(巨人) 盗塁数228 盗塁失敗47 盗塁成功率82.91%
2.広瀬叔功(元南海) 盗塁数596 盗塁失敗123 盗塁成功率82.89%
3.松井稼頭央(楽天) 盗塁数362 盗塁失敗79 盗塁成功率82.09%
4.赤星憲広(元阪神) 盗塁数381 盗塁失敗88 盗塁成功率81.24%
5.木塚忠助(元南海) 盗塁数479 盗塁失敗114 盗塁成功率80.78%
6.河西俊雄(元南海) 盗塁数233 盗塁失敗61 盗塁成功率79.25%
7.福地寿樹(元ヤクルト) 盗塁数251 盗塁失敗70 盗塁成功率78.19%
8.福本豊(元阪急) 盗塁数1065 盗塁失敗299 盗塁成功率78.08%
9.山崎隆造(元広島) 盗塁数228 盗塁失敗65 盗塁成功率77.82%
10.糸井嘉男(オリックス) 盗塁数245 盗塁失敗71 盗塁成功率77.53%
 
 2位の広瀬は殿堂入りの名外野手。1968年には44盗塁を記録しながらも、わずかに失敗2。シーズン盗塁成功率の日本記録を持っている。盗塁数にこだわらず重要な場面でしか走らなかったことでも知られている。5位の木塚、6位の河西も南海の出身者。河西は盗塁王3度の名手だが、阪神で江夏豊や掛布雅之ら、近鉄で野茂英雄らを担当したスカウトとしても有名。
 
 3位の松井は362個中306個が西武時代に記録したもの。2001年には失敗なしの26盗塁。楽天移籍後は6年間で56盗塁と数こそ減ったものの、盗塁成功率は86.15%と非常に高い数字を残している。自身初の盗塁王が確定的なオリックスの糸井嘉男は今季200盗塁の大台に到達し、10位にランクイン。今季は自己最多の53盗塁を記録しているものの失敗も17あり、今季の成功率は自己通算を下回っている。
 
 特筆すべきはランキング上位10人のうち、鈴木のみが盗塁数の大半を代走として記録していることだ。一度も規定打席に到達せずに200盗塁以上を記録したのは、プロ野球史上で鈴木ただ1人。打席数が300を超えた年すらなく、自己最高でも08年の270打席となっている(この年ゴールデングラブを受賞)。2014年には代走として106個目の盗塁に成功、元近鉄・藤瀬史朗の記録を抜いてプロ野球トップに立った。
 
 代走としての起用が主の鈴木が盗塁を決める場面は、試合終盤の勝負どころがほとんど。そうしたプレッシャーのかかる場面で、これだけ高い成功率を記録している鈴木の技術の高さと精神力の強さは驚異的というほかない。

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