5年、10年後のチーム編成から予測。球団補強ポイントに合致する2016年ドラフト候補
いよいよ20日にドラフト会議が行われる。12球団はどの選手を指名するのか。そこでベースボールチャンネルでは、各球団の現状の課題と5年後、10年後のチーム編成を予測した上で、勝手ながら指名を推薦したい選手をまとめてみた。
2016/10/20
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パリーグ
オリックス・バファローズ
補強ポイント 即戦力投手/二遊間/高校生の外野手
最下位に甘んじたのが不思議なくらいに戦力層はそろっている。よほど指揮官の采配が悪いのだとみるが、将来も容易に描けるほどドラフト戦略は上手くいっているようには見える。いかに育成システムを確立するかなのだろう。その中での補強ポイントを探ると、これだけの選手がいるのだから、思い切って、高校生に踏み切ることもできるが、ひとまず、即戦力投手を狙いたい。田中正義(創価大)、佐々木千隼(桜美林大)、生田目翼(流通経済大)の3人がいる。昨今、オリックスのドラフトはくじに外れるが多いことから、一本釣りを狙う傾向にある。リーグ最下位で2巡目は早々に指名ができることを考えれば、勝負をかけてもらいたい。ややもすると、田中、生田目の両獲りもあり得る。そのほかのポイントを探ると、二遊間の選手層と高校生の外野手を狙いたい。源田壮亮(トヨタ自動車)、松尾大河(秀岳館)、鈴木将平(静岡)らか。
松葉は5年後は中継ぎと予測した。
東北楽天ゴールデンイーグルス
補強ポイント 即戦力投手/高校生の右の外野手
くじ運の強さも手伝って順調なドラフトを展開している。オリックスと同じくいかに育成システムを確立するかの段階に入っている。投手に関しては、年齢、左右のバランスとも申し分がなく、野手陣も育ちさえすれば、未来は明るく見える。そうなっていくと現実路線を見て行きたい。即戦力投手指名が得策だ。1、2位は順位を考えても積極的に投手を獲りたい。現在の楽天で懸案事項となっているのは、クローザーの松井裕樹をこのままの起用を続けるか否かだ。先発に回すべきと考えると、1、2位のどちらかはクローザー候補を考えたい。最速156キロを持つ、田中正義(創価大)のほか、加藤拓也(慶應大)、高良一輝(九産大)、中塚駿太(白鴎大)も2位以下ならねらい目だ。他の補強ポイントは高校生を中心に投手・野手とも厚みを加えたい。投手なら九州BIG4の山本由伸、野手なら藤嶋健人(東邦)あたりがいる。
※則本はFA移籍(メジャー)と予測。
埼玉西武ライオンズ
補強ポイント 大学生投手/遊撃手/高校生外野手
下位に低迷しているのが不思議なくらいのチームだ。個々の能力は高いが、チームを編成していく力がない。組織として機能しておらず、これからも、選手頼みのチーム作りは続くのだろうか。そこはまた別の議論になるが、そんなチームの補強ポイントを探ると投手陣であるのは明らかだ。高校生投手を育成するノウハウがなく、社会人に頼ってきたツケが回ってきている。ここで社会人の即戦力を獲得となると同じことを繰り返すだけになるから、大学生投手を中心に、即戦力かつまだ伸び率を秘めた選手を狙いたい。さらに、後ろも務められる選手だとなおいい。第一候補は黒木優太(立正大)を挙げたい。まだまだ伸び率の期待できる選手で、中継ぎの候補としても見込める。このほか、高良一輝(九産大)も決め球となるカットボールは武器になるはずだ。懸案となっている野手は今年春夏の甲子園でベスト4に進出した松尾大河(秀岳館)あたりを中・下位で指名したい。辻新監督のような選手に育てられるか。
岸、菊池はFA移籍(メジャー含む)と予測。
千葉ロッテマリーンズ
補強ポイント 左腕投手/長距離打者
毎年3位には食い込むが上位進出の可能性もみえないのは、ウイークポイントがあるからだろう。そこを埋めない限りは、もう一つ上のチームにはいけない。「下剋上ロッテ」は「下剋上しかできないロッテ」になりかねない。田中正義(創価大)の指名を公表しているとのことだが、待ったをかけたい。投手の構成が右投手偏重で、相手チームが打線を組み易くしているところに目を向けなければならない。なにせ、今季は先発左腕の勝利は1勝しかないのだ。その中で、木村優太や川満寛弥と来季の契約を結ばず、1位は田中というのは理解できない。田中がものすごい投手だというのは分かるが、左腕投手に目を向けたい。候補としては土肥星矢(大阪ガス)、濱口遥大(神奈川大)を狙いたい。早くからのデビューが期待できそうな寺島成輝(履正社)も候補だろう。野手ではスラッガータイプを獲得したい。大山悠輔(白鴎大)松本桃太郎(仙台大)高校生なら天本昂佑(秀岳館)今井順之助(中京)あたりか。
福岡ソフトバンクホークス
補強ポイント 二遊間/中長距離打者/中継ぎ投手
3連覇を逃したソフトバンクは、昨年のドラフトで高校生のみの指名に終始した。結果、その奢りが今季の大逆転負けを喫したとみていいだろう。選手層に胡坐を掻いてはいけないことを教訓として伝えた。ドラフトとは人生のようなものだ。その中での補強ポイントを探っていくと二遊間と中・長距離打者、そして、中継ぎ投手だ。先発の右投手はある程度、人材がそろっているから、下位で素材系を獲るくらいでよいのではないか。そう考えていくと、京田陽太(日大)が適任だ。遊撃手には今宮健太がいるが、二塁手として考えたい。本多雄一から奪うようなことがあれば、面白い。同じ東都のショートストップ、松田進(中央大)もねらい目だ。また、松田宣浩の後釜も探したい。大学生なら大山悠輔(白鴎大)だろうか。外野手では体の割にはパンチ力のある佐藤拓也(立教大)もおすすめしたい。中継ぎ投手では星知弥(明治大)加藤拓也(慶應大)あたりか、社会人では進藤拓也(JR東日本)酒居知史(大阪ガス)高校生では地元の速球派右腕・梅野雄吾(九産大九産)も森唯斗になれる素材だ。
北海道日本ハムファイターズ
補強ポイント 左腕投手/外野手のスラッガー/中継ぎ右腕
11.5ゲーム差をひっくり返した日本ハムは「スカウティングと育成」の勝利だった。チーム作りの根幹をそこに置き、適材適所に選手起用を栗山監督が施して勝利をもぎ取った。戦力は充実しているが、現在の主力選手たちのFAや大谷翔平のメジャー挑戦を考慮に入れると、落ち着いていられない。次なる候補がファームにいるとはいえ、一気にチームが弱体する危険性を秘めている。日本ハムのドラフト戦略は「その年度の1番の選手を1位指名する」と決まっているが、現在のチーム事情を考慮すると、ひとまず、左腕投手が補強ポイントだろう。昨年は上原と加藤を獲ったが、乾をトレードで放出し、武田勝が引退するなど、枚数が足りない。1位指名は寺島成輝(履正社)を狙うべきだ。思考力が高く、チームの育成方針にも合致するタイプといえるだろう。2位以下では地元の古谷優人(江陵)は是が非でも獲得したいはずだ。中継ぎタイプでは堀瑞輝(広島新庄)もいる。また、野手よりも投手陣の方がやや厚みが欲しいところ。中下位は右投手を獲りたい。島孝明(東海大市原望洋)高田萌生(創志学園)が余っていたら、獲りたい。野手ではスラッガータイプの外野手を探したい。