阪神の「超変革」は着実に進行中。来季は真価を問われる1年に【2016年通信簿】
セリーグ3位ながら借金1でシーズンを終えた2015年限りで和田豊監督が辞任し、新たに金本知憲が監督に就任した今季の阪神タイガース。チームスローガンに「超変革」を掲げ、心機一転のシーズンとなるはずだったが、交流戦で借金生活に突入。結局、6月5日以降はシーズン終了まで一度も勝率5割に到達することなく、64勝76敗3分、4位の結果に終わった。 積極的な若手の起用など、チームの将来を見据えた確かなビジョンは垣間見えたが「育成と勝利」の両立とまではいかず……。 金本政権1年目は、光明と課題、その両方がくっきりと浮き彫りになったシーズンだった。
2016/12/26
「時代に逆行」、金本采配の成否は?
ベンチワーク 3点
監督就任前、解説者時代の金本知憲にインタビューをしたことがある。その際、「そこまで言っていいのか」とこちらの腰が引けるくらい、阪神の球団体質、選手の姿勢に苦言を呈していたことを覚えている。広島東洋カープから阪神に移籍した「外様選手」だった金本にとって、阪神という球団の体質は、カルチャーショックを感じざせるのには十分だった。
監督に就任した今季も、その姿勢はぶれなかった。キャンプ前から「練習は厳しくする」と公言。近年は北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹監督、広島・緒方孝市監督のように選手と積極的に対話し、若手をほめて伸ばすモチベータータイプが主流となっているが、金本はその真逆。シーズン中、選手を名指しで批判することは日常茶飯事。特に若い選手には容赦なく雷を落とした。
象徴的だったのが7月8日の広島戦。3回までに5失点を喫した先発・藤浪を、なんと8回161球(8失点)まで投げさせたのだ。懲罰的ともいえるこの投手起用には多くの批判が集まったが、「エースなら最後まで試合に責任を持て」という厳しい檄でもあった。
良くも悪くも「厳しさ」を前面に打ち出した今季の金本采配は、リーグ4位という結果だけを見れば失敗だったといえるかもしれない。
しかし、今季優勝を果たした広島・緒方監督が1年目の反省を生かして優勝につなげたように、金本監督も1年間を通して何を感じ、来季に向けて何を変えるのかが重要だ。
あとは同世代の矢野燿大、片岡篤史らコーチ陣がしっかりと金本に「意見」を言えるようになれば、ベンチ、そしてチームのムードも大きく変化するはずだ。