巨人、主力選手は意地を見せるも、首位と17.5差の惨敗。オフには大型補強でチーム再建へ【2016通信簿】
巨人にとっては屈辱の2016年となった。今オフは大型補強を敢行し、来シーズンは高橋監督の真価が問われる1年となる。
2016/12/31
3人のタイトルホルダーを輩出した投手陣
今思えば、あの一戦が2016年の巨人のターニングポイントだった。
7月29日ヤクルト戦(東京D)から、8月3日中日戦(ナゴヤD)まで5連勝。
首位広島と6.5差で迎えた敵地マツダの直接対決でも連日接戦を制して、連勝を7まで伸ばすと、一時最大13.5あったゲーム差を4.5まで縮めて迎えた第3戦。
8対7と巨人1点リードで迎えた最終回二死走者なし、あとひとりで3タテ、ゲーム差3.5まで接近という場面からクローザー澤村拓一が逆転サヨナラ負けを喫し、再び5.5差へ。
この試合をきっかけにチームは優勝戦線から徐々に脱落し、最終的に首位広島とは17.5ゲームの大差をつけられた。
なんとか2位を確保し10年連続のクライマックスシリーズ出場権を得たものの、DeNAの若さと勢いの前に屈し2011年以来5年ぶりのCSファーストステージ敗退。
昨オフ、嵐の中で誕生した由伸監督1年目はいかに戦い、いかに敗れたのか?
今一度、2016年巨人の1年を振り返ってみよう。
なお、採点は5点満点で、最高点が5点になる。
投手3点
昨季は12球団トップのチーム防御率2.78、リーグ最少の443失点を記録した投手陣も今季はリーグ3位の防御率3.45。
エース菅野智之は味方打線の無援護に悩まされながらも、最優秀防御率(2.01)と最多奪三振(189)のタイトルを獲得。さらに70試合登板のマシソンが最優秀中継ぎ投手(49HP)、澤村も最多セーブ(37S)に輝いた。
多くのタイトルホルダーを輩出した投手陣だが、その先発事情は苦しかった。昨季の最高勝率投手マイコラスが故障で開幕に間に合わず、ポレダも序盤に故障離脱、不振で出遅れた内海哲也の初勝利は6月初旬、頼みの杉内俊哉も手術明けで年間を通してリハビリ生活、さらに2年目高木勇人は絶不調、期待のドラ1桜井俊貴はまったく戦力になれず、開幕直後にローテは崩壊寸前だったというのが実状だ。
そしてブルペンでは、ここ10年近く左のセットアッパーとしてチームを支えてきた山口鉄也が1勝6敗、防御率4.88と勤続疲労に苦しむも、首脳陣は「左の代わりがいない」と頑なに心中起用。
結局、内海・杉内・山口といった原巨人時代の功労者の衰えを実感するシーズンとなってしまった。
明るい要素としては、3年目田口麗斗が球団では89年桑田真澄以来27年ぶりの21歳以下シーズンでの2ケタ勝利を記録。27歳サイド右腕の田原誠次も64試合登板と中継ぎで存在感を発揮した。
オフには、FAで先発要員の山口俊(DeNA)と左のセットアッパー候補・森福允彦(ソフトバンク)を補強。日本ハムからトレードで12年MVPサウスポー吉川光夫、新外国人のクローザー候補カミネロも獲得。
この大型補強の数々が、ペナントの苦しさを物語っている。
もはや「誰か」ではなく、「チームのベース」そのものを変える時期にきているのは確かだ。
来季、巨人投手陣の顔触れは大きく変わるだろう。