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【里崎智也×ザック生馬特別対談】侍JAPANへの提言#2 小久保ジャパンの課題、何のための強化試合?「チームのルール作成は必須」

昨年11月の強化試合は3勝1敗と面目を保った。 しかし、さもオールスターのような起用に終始した小久保裕紀監督の采配には疑問を抱かざるを得なかった。果たして、強化試合の4試合から見えたものはあったのだろうか。 里崎智也氏、ザック生馬氏からは厳しい指摘がとんだ。

2017/01/03

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小久保ジャパン内のルール作成で意思統一を

――その点、海外のチームは工夫していましたね。

ザック メキシコの投手コーチがリゴ・ベルトランといって、元カープの投手だったんですけど、クリーブランド・インディアンスのシングルAのコーチをやっている。今年のインディアンスはWシリーズにたどり着くまでもそうでしたが、フランコーナ監督が、セットアップのアンドリュー・ミラーを5回や6回に使ったりしました。ちゃんと休ませるんだけど、使うときはイニングまたぎや球数が50球近くになることもありました。彼の言い方は、「セットアッパーは、短期決戦のときはピンチの時に使う。そのための投手だ」とね。その教えをもとに、1Aもそういうスタイルでインディアンスの組織はやっていたと、いうんですよ。メキシコも同じ。また、消耗を考えた工夫も凝らしていました。

――どんなことをしていたんですか。

ザック 肩を温めるため、ブルペンで作るための球数も含めて、1日50球しか投げさせないと決まりを作っていました。ブルペンに入って、10球以内で肩を作れるくらいの仕上げをする指令を出していたんです。チューブを使ったり、肩をほぐしたりして、行くよとなった時に、10球以内で肩を作る。マウンドに上がって8球くらいあるから、全20球くらいで肩は作れるだろうと。起用法ではイニングまたぎをもやっていましたよね。実際、本番はメンバーが入れ替わりますけど、それでも、今回の投手はそういう練習をしていたし、シミュレーションも試しました。

――調整法はアメリカ、韓国、台湾も同じみたいですね。3カ国でプレー経験のある高津臣吾(ヤクルト)さんがおっしゃられていました。

里崎 ボビー(・バレンタイン)がいた時のロッテもそうですよ。「作れ」といわれないとやっちゃいけないんですよ。

ザック 消耗しますからね。

――つまり、その方法でもできるということですね。

里崎 やらなきゃ仕方ない。ようは「やれ」といわれたらできるんです。やらなきゃいけないんですから。それは指揮官がどうするか。小久保ジャパンがどういうルールなのかを選手に伝える必要があるでしょうね。

――ルールですか。

里崎 前回のWBCではダブルスチールに失敗して負けたじゃないですか。あれはなぜ起きたかというと、選手が各チームのルールでやっているから起きるんです。

――各チームのルールとは。

里崎 1、2塁からの盗塁は同じようにみえて『セカンドランナーが走ってからいきなさい』というのもあれば『サインが出た時点で絶対に走りなさい』というのもある。それなのに、各チーム独自のルールでやっているんです。つまり、侍ジャパンはその細かいルールを統一しなきゃいけない。そうでないと、各自のしみついたルールでやって、井端さんと内川みたいなことが起きる。実はセーフティースクイズでも違いがある。例えばAというチームでは、転がったのを確認してから走りなさい。その代わり、バッターはコースをしっかり狙いなさいと。Bというチームは、バットに当たる前にストライクゾーンと思ったら、スタートを切れ。バッターは投手前でもいいからとにかく転がせ。こういう風にセーフティースクイズでも2つのやり方がある

――全然違いますね。

里崎 何の統一もしていなかったら、バッターとランナーがそれぞれのルールにのっとってやっていたら、失敗が起きる。ランナーは転がってからゴーと思っていて、バッターは投手前と思ってやっていたら、アウトになりますよね。でも、それは選手に非はないんです。侍ジャパンはすべてにおいて統一しなきゃいけない。

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