新たな〝ハマの大魔神〟出現を DeNA浮沈のカギは、守護神の固定にあり
昨年5位に終わったDeNA。振り返れば3、4月の借金が最後まで重くのしかかった。スタートダッシュを図る上で、なにより投手陣の整備は最重要課題。とりわけ9回を任せられる守護神の固定は、チームの浮上に不可欠だ。
2015/01/14
2014年は、三上のクローザー起用で安定感をもたらした
昨年の夏、横浜スタジアムでウグイス嬢が三上の名前をコールし、観客から三上コールが起こったのを聞いて、ふとあの頃のことを思い出した。
98年秋―。
この年、38年振りの優勝を間近に控えたベイスターズの本拠地、横浜スタジアムの9回表は異様な雰囲気を醸し出していた。
当時の指揮官、権藤監督が主審に投手交代を告げる前に、スタジアムの観客は次に誰が登板するのかを知っており、場内は佐々木コールがわき起こっていた。
そしてウグイス嬢が『ピッチャー五十嵐に代わりまして、佐々木』とコールすれば、場内は爆発的な歓声に包まれ、佐々木の姿を一目見ようと我先にスタンドの前方へ押し寄せるのであった。
佐々木がMLBへ移籍した以降、斎藤隆・木塚・クルーン・山口らがクローザーの座を任されてきた。
しかし〝ハマの大魔神〟佐々木の絶対的な存在感は、大魔神が去った後の横浜スタジアムにも亡霊として残り続け、それぞれがクローザーとしてそれなりの成績を残した年でも、スタンドからは厳しい声が聞かれることもしばしばあった。
昨年の開幕直後の大失速の原因は、黒羽根の故障離脱や打撃陣の不振もあったとはいえ、当初クローザーとして予定していたソーサの調子が上がらず、ソーサの後に山口を指名するもこちらも調子はいまいちと、クローザーはじめリリーフ投手陣の調子がいま一つだったことも大きかった。
それが5月以降、ルーキーの三上朋也がクローザーの座に収まると、役割が明確化したこともあったのか、一転してリリーフ投手陣は安定した。
惜しくも悲願のクライマックスシリーズ進出はならなかったものの、4月さえなければという状況までもってこられたのは、三上の存在が大きかったと言ってもいいだろう。
ただその頼みの三上も、9月は疲労蓄積や相手が対応してきたこともあり失速した。