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元ロッテ・大松尚逸「引退」ではなく「現役」。悩み抜いた男の決心【後編】

昨年10月に、千葉ロッテマリーンズから戦力外を通告された大松尚逸。千葉ロッテでの12年間で、身体的な悩みを抱えることもあった。その苦悩を2回にわたってお伝えしていく。今回は後編だ。

2017/01/22

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「人として本当に尊敬できる先輩」

 そんな大松について、一学年下の後輩である根元俊一はこのように語る。
「後輩からは愛されて、先輩からは可愛がられて、人として本当に尊敬できる先輩です」
 近年はそんな大松と共に沖縄県で一緒に自主トレを行ってきた。
「大学の全日本で一緒だったときからの縁なので本当に長いですよね。自分が一学年下ということもあって、入団のときからずっとマツ(大松)さんの背中を見て歩いてきましたし、追いつく目安と言ったら失礼ですけど、ずっと追いていかれないように必死に追いかけました」
 技術面だけではない。強固な精神面も根元にとっては良い参考になる先輩だった。
「凄く良いときも、反対に悪いときもまるで変わらないんですよね。常に前を向いているというか、何があっても諦めない。そういう姿勢で出来る選手って案外少ないんですよ。ファームにいる時期が長くなれば普通の人間だったら弱くなったりもするんですけど、マツさんはそうじゃない。自分もこういう風な人間になりたいと素直に思えるんです」
 
 この1月も例年と変わらず一緒に沖縄で自主トレを行っている。
「ランニングメニューもバッティングも守備もみんなと同じようにやっているので、何も問題ないと思います」
 一見、何事もなかったかのように普段どおり過ごす大松の姿に「戦力外」という現実を忘れそうにもなる。
「実感がないというのが正直な気持ちです。それくらい今も一緒に過ごしているので……。これでキャンプが始まれば一緒にいない分、実感もわいてくるんでしょうけど、それが正直さみしいですよね」しみじみとそう語った。
 
 幸い大松の怪我の回復具合は順調だ。
「あとは周りの筋力がトレーニングをやりながらじゃないと上がっていかないので、焦らずにそこをやりながら、まず2月のキャンプにピークを持って行けるように考えながらやっています」と、語る大松の表情はとても明るい。
「表情が明るい?みんなに言われます。なんていうか今は吹っ切れた気分なんで!」
 報道では東京ヤクルトスワローズの春季キャンプで、テストが行われる運びで進んでいるという。和製大砲の奇跡の復活なるか……。不屈の魂が今、さらに燃え上がっている。

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