田中将大との違いは「得点圏」 絶対的エースになるために、楽天・則本昂大が解決すべき課題
今季3年目を迎える楽天・則本昂大は、すっかりチームの投手陣の柱に成長した。田中将大の後を継ぐ『楽天のエース』として、さらなる高みを目指すためには、ある課題を克服できるかがポイントになりそうだ。
2015/01/29
田中との違いは、得点圏での投球内容
24勝無敗だった2013年の田中を例に取ると、スコアリングポジションでの投球が異次元だった。上表のとおり、ストレートの平均球速は、走者なしでは146.5キロ、一方で得点圏になると149.0キロまで上昇する。球威、キレが増し、打者にとってはバットの芯で捉えることが難しくなる。
打者のゴロ率も走者なしでは56.1%、得点圏になると63.2%へ上昇した。同年田中の被打率は.218、被OPSは.538だったが、得点圏では同.160、同.431まで下がった。満塁では15打数1安打7三振。陽岱鋼に浴びた唯一のヒットも緩い当たりの内野安打だったことはよく知られている。
一方、則本はどうだろうか? 則本も自らの好投でギアを上げることができる投手にもかかわらず、ピンチではいまいち思うように発揮されていないように感じる。
過去2年、走者なしでは2割前半と安定している被打率が、得点圏だと2割8分近くまで悪化する。昨年は.284だった。これはパリーグ既定投球回到達13人中7位の数字である(同僚の辛島は同3位.233)。得点圏被OPSも2年目は.812と、かんばしくない。昨年のストレート平均球速は、走者なしでは146.2キロを計測したが、得点圏では143.9キロまで減速していた。
得点圏での田中と則本の投球をゾーンの高低別で確認すると、田中の高め投球率が27.7%なのに対し(逆を言えば、球を低めに集めていた)、則本は38.0%。約10%多かった。走者なしでは34.3%のため、スコアリングポジションに走者を背負うと球威、球速が下がり、球が高めに浮きやすい傾向が生じ、その高めの投球をよく打たれていた。
苦境でこそ自らの投球を貫くことができるか。それが真のエースである。状況に応じてスイッチのオンとオフの切り替えをスムーズに行うことができるのか? 得点圏での成績が改善できれば、3年目で早くも自らの価値を球界指折りクラスまで高めることができるはずだ。