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若鷹・上林誠知の“逆襲”。「絶対あいつらを追い越す」U-18での悔しさバネに世代の頂点へ

福岡ソフトバンクホークスの上林誠知外野手は今季、初めて開幕戦(対埼玉西武ライオンズ)でスタメン出場した。高校時代にはU-18日本代表入りも控え選手だった上林は、その悔しさが契機となり、今につながっている。

2017/04/12

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前さばきで打つタイプ

 プロになって初めての地元でのプレーにも、上林誠知は淡々としていた。
 
 「プロでやる以上は、これから何度もここに来ると思います。だから、特別な感情があるわけではありませんけど、(観戦にきた)両親の前で打てたのは良かったかなと思います。もっとチームに貢献できるような選手になっていきたいと思います」
 
 鷹のホープとして、プロ入り初めて開幕スタメンに名を連ねた。
 中学時代までを過ごした埼玉での西武戦では3試合連続してスタメン出場。9打数3安打2打点1本塁打と才能の片りんを見せつけた。
 
 上林といえば、仙台育英高2年生時から注目を浴びた選手だった。
 高校2年夏に甲子園に出場。主将になった秋は、神宮大会を制した。翌年は春・夏連続して甲子園に出場した。センバツではワンバウンドのボールをコンタクトして安打にして話題に挙がったこともあった。
 
 しかし、最後の夏が終わった時、上林は失意のどん底にいた。
 プロ入りを果たすために大事な夏の甲子園1回戦・浦和学院戦で3三振。この1戦には勝利したものの、力を発揮することなく大会に敗れていたからだ。
 
 その後、世界1を目指すU-18日本代表入りを果たすも、準優勝したチームの快挙の陰で上林は蚊帳の外にいた。西谷浩一監督(大阪桐蔭)が率いた当時のメンバーには上林のほかには、森友哉(西武)、松井裕樹(楽天)、安樂智大(楽天)、山岡泰輔(オリックス)、田口麗斗(巨人)、高橋光成(西武)、若月健矢(オリックス)、園部聡(オリックス)、渡辺諒(日本ハム)、内田靖人(楽天)、吉田雄人(オリックス)らがいたが、上林は控え選手という扱いだったのだ。
 
「こんな悔しい想いは初めてです。絶対、あいつらを追い越して、自分らの世代の頂点に立ちたいと思います。球界のトップだけじゃ満足できない。日本で活躍してメジャーにも行って、あいつらを見返したい」
 
 そう語っていた上林がプロ入りして4年目の今季、開幕から猛アピールを続けている。
 
 走・攻・守において、ポテンシャルが高い選手だ。
 一塁への到達タイムは4.10秒がアベレージ。外野守備ではまだ慣れていないところもあるが、高校時代は「僕が見た高校生ではナンバーワンの守備力」とJAPANの指揮官・西谷浩一監督が語ったほどで、ボールに最短距離で追いつく守備力はこれからさらに磨かれていくだろう。
 
「みちのくのイチロー」とも呼ばれたバッティングは、リードする右手のバットコントロールが上手く、アベレージを残すタイプだ。この3連戦では本塁打を含む2本の長打を放っているが、長打力を武器にするタイプではない。ミートポイントをやや捕手寄りに変えているように見えたが、本人にはそのつもりはないとこう語る。
 
「ミートポイントを後ろにしようというわけではありません。僕は前さばきで打つタイプだと思います。いまはその場で打つことを意識していますね。自分は走り打ちしてしまうところがあるので、そこに課題を持ってやっています」
 
 淡々と自身の課題を挙げているところからも、上林がプロに入って揉まれてきたのが分かる。プロに入って4年、2015年にデビューを果たし、着実に階段を昇ってきている。
 
 改めて聞いた。高校時代の悔しさを今も持っているのか。
 
「JAPANのことだけがすべてじゃないですけど、悔しさはいまも持っています。JAPANでもそうですけど、高校の3年になってからは自分の調子が全然よくなかった。そのまま高校生活を終えたっていう悔しさはいまの力になっています」

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