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「カープ女子」効果は本物 “お客が呼べる”屈指の球団に!【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、カープ女子を例に、観客動員と動員率を分析した。

2015/02/08

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動員率が上がっている球団がある一方で、苦戦中の球団も

 NPBの発表によれば2014年度のプロ野球の観客動員は22,859,351人を記録。これは2013年度よりも81万人ほど増えている。
 観客動員1位は巨人、2位は阪神、3位はソフトバンクだ。
 
 観客動員の数字を見るとき、注意すべきは「動員数の数字だけでは、その球団に“お客が入っているのか”“入っていないのか”は正確にわからない」ということだ。
 各球団の本拠地のキャパシティにはばらつきがある。定員が5万人近い大きな球場もあれば、3万人以下の球場もあるのだ。
「観客動員数」ではなく、「入れ物の何割を満たしたか=動員率」で見なければ、観客動員の実態はわからない。
 
 昨年のセパ12球団の観客動員を動員率の比較で見ていこう。
 NPBでは本拠地球場だけでなく、地方球場で公式戦を行うことがある。地方球場の興行は主催球団が地域のプロモーターに興行権を売ることもある。また興行の条件も異なるので、動員率を考える上では除外した。
 
 本拠地球場だけの入場者数をはじき出し、動員率を出した。
 なお、オリックスは京セラドーム大阪とほっともっとフィールド神戸を本拠地 としているので2つの合算で計算した。観客動員数順だ。
 
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 観客動員数1位は巨人、動員率も97.75%とずば抜けている。昨年対比でもアップしている。読売ジャイアンツの久保博社長はインタビューで「観客動員は飽和状態」と答えていたが、この数字を見ればそれがわかる。
 観客動員2位は阪神、3位はソフトバンク、動員率は90%少しと、ほぼ並んでいる。
 4位は中日で、動員率は75.38%、5位の広島は82.53%、動員数は5位だが、動員率では広島のほうが上回っている。
 
 中日は収容人員38414人のナゴヤドームに毎回29000人弱の観客を動員した。広島は収容人員33000人のマツダスタジアムに毎回27000人弱の観客を動員した。
 総数では中日が上だが、空席は中日が9400に対し、広島は6000だった。
 
 広島の2013年の動員率は66.80%、2014年は跳ね上がった。「カープ女子」効果は本物だったと言えよう。
 オリックスも動員率が55.59%から65.90%と跳ね上がっている。こちらはチームの好調が要因だろう。「カープ女子」にあやかって「オリ姫」を流行させようとしているが、やはりチーム成績がモノを言うのではないか。
 
 チームの順位は変わらないものの、DeNAも観客動員が伸びている。若手選手が台頭し、上げ潮ムードにあるのは間違いないだろう。また球団の様々な改革が成果となって表れている。
 
 12球団で唯一収容人員が3万人を切っている楽天は2014年、観客席を約3000増設し、28736人とした。客席が増えたにもかかわらず、動員率もアップ。一昨年の優勝によってお客がしっかり根付いている。このチームも今年が勝負だろう。
 
 心配なのがヤクルト、西武、ロッテだ。
 動員率が下がっている。この3球団は関東圏でフランチャイズエリアが巨人と重なっているため、もともと動員は苦しかったが、チームの低迷がこれに拍車をかけている。
 特にロッテは、2010年の日本一から35万人もお客が減っている。
 普通、観客動員数には「年間指定席」分も含まれる。動員率50%の客席は、非常に厳しい数字だ。特にこの3球団は、チームの建て直しとともに、どのような集客施策を打っていくのか、今年注目したい。

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