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北海道ファンの気持ちをつかんだ大田泰示。新天地で生き残れ!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#50】

ファイターズはようやく主力が戻り、反撃態勢を整えつつある。その中でも、今季からチームの一員に加わった大田泰示の存在感が光る。

2017/05/06

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大砲三門は相手にとって重圧になる

 ファイターズは5月最初のロッテ3連戦を見事スイープし、反撃の狼煙を上げた。5位浮上(5月4日現在)だ。去年の日本一チームが5位で喜んでる場合じゃないのだが、フツーに喜んでいる。ロッテ戦で助かったのはカード初戦を11対0で取って、打線を活気づかせてもらったことだ。うちもロッテも4月は貧打でえらい苦労した。両軍スタメンの1割打者を数えたら両手できかなかった。ロッテは外国人の不調に加え、角中勝也の離脱がこたえている。何とこの3連戦は「4番・鈴木大地」でオーダーを組んできた。
 
 その点、ファイターズはロッテより先に主力が戦列復帰し始めた。中田翔、大田泰示、松本剛に続いて淺間大基が1軍昇格し、かなり打線の厚みが増した。近藤健介の孤軍奮闘だったどん底の状況を脱し、打線がつながりだす。相乗効果が生まれる。
 
 例えばこれまでは走者を置いた場面で、(不調であっても)西川遥輝は打ちに行かなければならなかった。打線が薄くて「返す打者」が足りないのだ。で、結果が出なくて西川は苦しんだ。今は西川は送ることもつなぐことも、もちろん強振して勝負することもできる。負担がずっと軽くなった。
 
 僕のお気に入りは「4番・中田、5番・レアード、7番・大田」の右の大砲三門だ。間に「6番・田中賢介」と左の巧打者が入るのも渋い。が、ここでは大砲三門の話をする。全員大した数字は残していないのだ。中田.159、レアード.204、大田.207(4日現在)。ロッテ3連戦の始まる頃は全員1割打者だった。はっきり復調気配の見えるのはレアードだけだろう。中田、大田はまだ調子が出ない。だけど、ここにも相乗効果がある。
 
 いや、ざっくりした話だが、大砲三門あったらどこかで引っかかるのだ。一発でも敵艦に命中すれば大打撃を与えうる。当たるのが最上だが、当たらなくても中田がブーンと振ってレアードがブーンと振って、気疲れした後の賢介だ。で、その後の大田だ。相手バッテリーは消耗する。打線の「点が線になる」には、いわゆるスモールベースボール式のつなぎのバッティングもあるのだが、こういう重圧を連続させる考え方もある。まぁ、ソフトバンク打線を相手にしていると日々実感することだ。「ひとつ間違ったら…」が何人も続くと本当にバテてくる。
 
 「あんまり当たらないけど当たると大打撃」の好例が連敗を10で止めた4月27日ソフトバンク戦の中田1号決勝3ラン、3タテを引き寄せた5月4日ロッテ戦のレアード7号先制3ランじゃないだろうか。3ランは「この試合決まった感」がある。まぁ、実際にはリリーフ陣が不安定で、「まだ決まってなかったかも感」が残ってしまう終盤戦になるのだが、破壊力は相当なものだ(本稿は投手に触れる紙幅がないが、ファイターズが本格的な反撃体制に入るためにリリーフ陣復調が必須なことは論を俟たない)。

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