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巨人、屈辱の敗戦続きで生じる“焦り”。大博打「菅野多投プラン」で想定される最悪のシナリオ

7月3日時点で1位広島東洋カープと16ゲーム差がついている読売ジャイアンツ。シーズン前半戦に少しでもゲーム差を縮めたいという考えからか、ここまで大黒柱としてチームを引っ張ってきた菅野智之投手を1日前倒しの中4日で登板させそうだ。ファンの悲鳴も少なくないが、本当に前倒しで登板させるべきなのだろうか。

2017/07/04

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奇跡のVを狙うよりも今はAクラス入り

 そう考えると巨人の首脳陣には申し訳ないが、今のチーム状況においてエース・菅野を酷使することに対してはどうしても違和感を覚えてしまう。3日現在で首位・広島とはもはや絶望的な16ゲーム差にまで引き離され、Bクラスの5位。最下位の東京ヤクルトスワローズとはわずか2.5ゲーム差で、いつ順位が入れ替わってもおかしくない危機的状況に立たされている。
 
 前半戦終了を待たずして自力Vが消滅した今、奇跡の逆転優勝うんぬんを叫ぶ“世迷い事”よりも目標を一刻も早くAクラス入りに切り替えることのほうが懸命のはずだ。しかも、3位の横浜DeNAベイスターズとも6.5ゲーム差で黄ランプが点灯している現実を直視しなければいけない。それにも関わらず、首脳陣は血眼になって5日の広島戦にわざわざ登板間隔を縮めてまでエースを投入しようとしている。それほどまでにまだ「打倒カープ」にこだわっているのだろうか。
 
 やはりどうしても巨人史上例を見ない屈辱の敗戦が続き、高橋由伸監督ら首脳陣に焦りが生じているのかもしれない。だから近々に球宴登板が控えていようが、何だろうが例え無理強いであっても絶対エースを1日でも多く投げさせて一戦必勝の態勢を整えたいとする腹積もりなのだろう。
 
 ただし、これは大きなリスクが伴う危険性があることも念頭に置かなければいけない。前記した中4日(5日・広島戦)→中5日(11日・ヤクルト戦)→中2日か中3日(14日か15日の球宴)の超過密日程を夏場に強いられ、馬車馬のようにフル稼働するエースに肉体的疲労が知らず知らずのうちに蓄積していけば後々のコンディションに何らかの大きな問題が発生してしまうことも心配される。大きなケガなどにつながってしまい、エースが戦線離脱となってしまったら、それこそ目も当てられない事態となることも首脳陣は最悪のシナリオとして想定しておくべきだと思う。
 
 イチかバチかの大博打は果たして成功するのか。前半戦終盤における高橋監督ら巨人首脳陣のエース多投プランには正直言って首をかしげたくなるが、この疑念が杞憂に終わることを祈りたい。

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