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1軍の舞台を目指して、大木貴将が駆ける夏【マリーンズドキュメント】

千葉ロッテマリーンズの大木貴将は、進退をかけた2015年のドラフトでNPBへの切符を掴んだ。2シーズン目を迎え、1軍昇格に向けて汗を流す日々が続いている。

2017/07/06

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千葉ロッテマリーンズ



緊張のドラフト会議、ほっとした育成1位指名

 名前を呼ばれなかったときには、潔く野球人生を終えよう。2015年、香川オリーブガイナーズ3年目の内野手、大木貴将は決意していた。
 
 目標はNPBにたどり着くこと。運命の日まであと数ヶ月となった夏、依然として気を緩めることは許されなかった。球場にやってくるスカウトの視線を意識しないはずがなかったし、独立リーグで通用する以上の力をアピールしないと意味がなかった。
 
 凡打でも全力疾走を怠らず、盗塁は相手に察知された上でも成功するぐらいでないといけない。持ち味の俊足を生かすことに重点を置き、目の前の試合に臨んだ。
 
 確固たる信念は、右肩上がりの数字が示していた。入団1年目は32試合で40打数8安打(打率.200)2打点2盗塁。2年目は63試合で131打数32安打(打率.244)9打点18盗塁。3年目は68試合で248打数81安打(打率.327)12打点43盗塁、首位打者と最多盗塁のタイトルを獲得した。
 
 秋になり、人生を左右するドラフト会議が幕を開けた。球団関係者と報道陣が集まる部屋に机と椅子が並べられ、大木を含む指名の可能性がある4人はテレビ中継画面に釘付けだった。選手たちの切実な祈りとは裏腹に、誰の名も呼ばれないまま時間が経過していく。
 
 最初に夢を叶えたのは、埼玉西武ライオンズから10巡目指名を受けた松本直晃だった。素直に仲間を祝福しながら、大木は胸の内に焦りが湧いていくのを感じていた。
 
 数十分後、その名を呼んだのは、出身地として縁のあるチームだった。育成ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズが大木との交渉権を獲得。長時間の緊張に疲れを感じずにはいられなかったが、全てを終えて周りを見れば、皆が安堵していた。結局、4人の選手全員がNPBへの切符を掴んだ。
 
「すごく緊張しました。その年は良い成績を残していたけれど、どんどん進んでいくにつれて(自分の指名は)どうなるんだろう、もう無いかもしれないと思ってきて……。呼ばれた瞬間は、嬉しさよりもほっとした気持ちでした。ドラフトにかからなかったら野球を辞めると決めていたので、(入団が決まって)家族も喜んでくれましたし、友人や応援してくれた人たちに少しでも恩返しができたのかなと思います」

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