楽天・オコエ瑠偉、ハーフゆえの“確固たる個”。プロ2年目で見据える10年後の姿とは
東北楽天ゴールデンイーグルスのオコエ瑠偉外野手が8月の今季初昇格から打撃でアピールを続けている。高校時代は俊足で鳴らしたオコエだが、プロ2年目にして自らの個性を理解し、さらに先を見据えた選手像を思い描いている。
2017/09/05
強烈な本塁打、ウリは脚力だけじゃない
名勝負の予感がした。
8月31日の東北楽天ゴールデンイーグルス―埼玉西武ライオンズ戦。西武のエース・菊池雄星に立ち向かうのは2年目・オコエ瑠偉だ。
結果は4打数1安打1本塁打2三振。試合には敗れたが、1回裏の初球・ストレートをバックスクリーン横に運んだ本塁打は強烈だった。
「打球速度はもっと速くしたかったけど、あそこにあの角度で入れられたのは満足」
会心の一発をこう振り返る。その後の打席は3打数2三振で、菊池の前に翻弄されたが、それでも得るものは大きかったという。
「真っすぐを打ちにいかないと手も足も出ない状態になってしまう。2打席目は全て変化球でしたけど、その中でもカウントを作れたし、ファールで逃げることもできた。悪くなかったと思いますね。真っすぐから、変化球を意識できた。三振は多かったけど、振りにいけたのでプラス面が大きい」
2015年ドラフト1位で入団。高校時代に甲子園で記録した三塁打の三塁到達タイム10.40秒(筆者計測)の驚異的な数字がクローズアップされるが、当時から目指していたのは決して脚力だけがウリの選手ではない。
「上手く打って走ればいいバッターだといろんな人が言っていると思いますが、自分は小さいころから打って走って守って、全部をしっかりやっていきたいと思ってた。小さくバッティングするつもりはない」
迷いのないスイング――。振り回しているようにもみえるが、高卒2年目でどのようなボールに対しても向かっていく姿勢が出せることはそう容易ではない。