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今季最後、“真の月間MVP”は? 質で圧倒も、西武・菊池を上回ったのは…【データで選出9・10月月間MVP】

今シーズンを締めくくる9・10月度の日本生命月間MVPが発表された。野手は2ヵ月連続2度目の受賞となる山川穂高(西武)と初受賞となる松山竜平(広島)。投手は少々意外にも思えるが初受賞の菊池雄星(西武)と今シーズン3度目の常連・菅野智之(巨人)が選ばれた。これに対し、データに主眼を置いた別角度からの評価で、9、10月に勝利を引き寄せるために、最も効果的な働きを見せていた選手が誰なのかをチェックしていく。

2017/10/24

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量の面で則本に劣ったものの、圧倒的な投球の質を見せた菊池雄星

 
 投手の評価には、奪三振、与四死球、被本塁打、ゴロかフライかライナーかといった打たれた打球の種別から算出する推定失点率tRA(true Run Average)、どれだけ多くの量を投げたかの投球回で、質と量の両面から貢献を計る。

 1位は則本昂大(楽天)とマイルズ・マイコラス(巨人)となった。ともに20%弱が平均となるK%(奪三振割合)、10%弱が平均となるBB%(与四球割合)、で平均より優れた数字を残している。
 
 この2投手より質の高い投球を先発で見せたのが菊池雄星(西武)だ。9・10月は31回を投げわずか自責点1という支配的な投球を見せたが、内容でもK%は30.6%、さらに50%弱が平均となるゴロ率が67.1%と、打球が前に飛ぶことが少ない上、前に飛んだとしても長打の危険が小さいゴロになっていたようだ。
 
 菊池が則本に劣ったのは量の面だ。楽天が9・10月に32試合を戦ったのに対し、西武はわずか25試合しか試合がなかったこともあり、菊池の先発機会は則本より2回少なく、投球回も13 2/3回もの差がついた。にもかかわらず菊池の貢献は則本の8.8点に迫る7.6点を達している。先発機会が同じだけあれば菊池の貢献が上回っていた可能性は十分にある。
 
 デニス・サファテ(ソフトバンク)、石山泰稚(ヤクルト)、山崎康晃(DeNA)も量の面で不利になりがちな救援投手でありながらランクインを果たした。サファテは40人の打者に対して16個の三振を奪っておりK%は40%に達した。40%超えは6月から4ヶ月連続。支配的な投球を続けたままシーズンを終えてみせた。
 
 岸孝之(楽天)は9・10月で7回先発し0勝4敗と大きく負け越した。投球成績を見ると、被本塁打が5本とやや多いものの、K%は31.1%、BB%は4.4%と優れた数字を残している。投手の勝敗には投手の能力・貢献以外が大きく関わってくる。岸は7月19日から白星がないままレギュラーシーズンを終えたが、調子が悪かったわけではなかったようだ。クライマックスシリーズファーストステージ第2戦では古巣・西武相手から貴重な勝利を挙げたが、好投の予兆は見せ続けていたというべきだろう。
 
 
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