評判上々の侍J稲葉監督、ルーツは「野村流」と「栗山流」。選手の心を惹く操縦術とは
「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」が16日、東京ドームで開幕する。野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督にとっての初陣となり、その手腕に注目が集まる。
2017/11/15
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厳格な「野村流」と情熱的な「栗山流」
彼の現役時代のルーツを探っていくと数人の指導者の下でプレーしているが、やはり中でもクローズアップされる指揮官は個人的に言えば入団時の1994年を含め当時のヤクルトスワローズ(現東京ヤクルトスワローズ)を率いていた野村克也氏と、そして北海道日本ハムファイターズで引退までの3シーズンをともにした栗山英樹監督が挙げられると思う。
事実、今回のU―24侍ジャパンの全体ミーティングで稲葉監督は選手たちにベンチ内での唾吐き、ガムの禁止やユニホームの身だしなみなど例年以上に厳格なドレスコードの徹底を呼びかけている。これはかつての「野村流」だ。
一方、選手たちと深いコミュニケーションを取りながら時に熱い言葉も投げかけ、相手の気持ちを乗せていくのが「栗山流」。先に挙げた甲斐らとコミュニケーションを深めながら指導するやり方は、どちらかといえば後者であろう。
すでに多くのメディアにも報じられているが、12日の日本ハム戦で2安打1盗塁、13日の埼玉西武ライオンズ戦も2安打1盗塁1打点と練習試合2戦連続でインパクトを残したソフトバンク・上林誠知にも稲葉監督は、本大会でのクリーンアップ当確を明言し「彼には『この3日間、3試合すべていくよ。心中するよ』と言った」とも打ち明けた。この何とも言えない熱い口調で選手の気持ちを鼓舞させる辺りは、どうみても「栗山流」だ。
稲葉監督が今も尊敬の眼差しを向け続けている「野村流」と「栗山流」。本大会制覇を狙うためにも選手操縦法の“いいとこどり”で、一刻も早く「稲葉流」を完成させたいところだ。とにかく期待したい。