モイネロ、スアレスを発掘。ソフトバンク中南米スカウトが語る「宝探し」の真髄【インタビュー】
近年、常に優勝候補に挙がる福岡ソフトバンクホークスだが、その強さを支えているのが外国人選手のスカティングだ。モイネロやスアレスは獲得当時、まだ無名の若手選手だったがリーグ屈指の活躍を見せている。その選手たちの獲得に尽力した萩原健太中南米担当スカウトに話を聞いた。(取材:文:高橋康光)
2018/02/06
Yasumitsu Takahashi
「所持金ゼロ、小さなバッグに少しだけ洋服」
――デスパイネ選手については、皆その実力は周知のことですが、モイネロ、コラス両選手の獲得経緯について教えてください
「モイネロは2015年2月のカリビアンシリーズで彼が初の代表入りをした時に見ました。まだ19歳になったばかりで、その時は特にインパクトもなかったです。ところが、2016年の冬、キューバ滞在時にたまたまテレビで彼が投げているのを見て驚きました。すごい球を投げていたんです。で、実際に見に行きましたがものすごく成長していました」
――ただ、モイネロ投手はWBCにも参加していましたし、他球団の触手は感じませんでしたか
「ウチは2017年2月のカリビアンシリーズの時点ではもう獲得に動き出していたので、仮に3月のWBCで他球団がモイネロ獲得に興味を持ったとしても、すでにウチが一歩前にいたのは確かだと思います」
――育成契約から一気に駆け上がった印象ですね
「確かにここまで急に伸びるとは思っていませんでしたが、成功してくれるという確信はありました。彼が来日する際は私が立ち会ったのですが、ハバナの空港に現れた時の彼は、所持金ゼロ、小さなバッグに少しだけ洋服が入っているという感じでした。移動中も一睡もしていないようだったので彼に聞いてみると、体を日本の時間に合わせたいからここでは寝ないと答えたので、そのハングリーさに驚いたものです。とにかく日本で稼いでやろうという気迫がすごいです。
とはいえ、ブレイクした後も常に真面目で謙虚な人柄はそのままなので、そういう彼のパーソナリティも成功の要因の一つだと思っています。コラスについては先行投資という意味合いが強いです。二刀流プレーヤーとして投打に高いポテンシャルを持っています。今は経験を積んでもらいたいです」