モイネロ、スアレスを発掘。ソフトバンク中南米スカウトが語る「宝探し」の真髄【インタビュー】
近年、常に優勝候補に挙がる福岡ソフトバンクホークスだが、その強さを支えているのが外国人選手のスカティングだ。モイネロやスアレスは獲得当時、まだ無名の若手選手だったがリーグ屈指の活躍を見せている。その選手たちの獲得に尽力した萩原健太中南米担当スカウトに話を聞いた。(取材:文:高橋康光)
2018/02/06
Yasumitsu Takahashi
キューバ球界のファミリー。築き上げた信頼
――そして、この2人に対し、通訳として元広島の育成選手ウィルフィレーセル・ゲレーロ氏を推薦したということですね
「はい、日本語ができて且つ日本でのプレー経験もある、そして人柄も良いのでうってつけの人材だと思いました。実際にゲレーロは2人の兄貴分的な存在として通訳はもちろん、生活面のサポートもしてくれますし、非常に信頼されていますよ。彼の存在もまたモイネロの活躍の一因だと思います。
自分も球団通訳の経験があるので、その重要性は理解しているつもりです。育成選手だからといって、通訳なしでいきなり異国にポンと放り込まれるのはさすがに厳しいと思います。若手だからこそサポートが必要な部分もあるので、球団がこの点も理解してくれているのは非常に大きいです」
――昨年はこの両若手選手、そしてデスパイネ選手と全てキューバ人選手の獲得でしたが、キューバとの交渉というのは難しくないのですか?
「キューバはわがままで法外な要求を吹っ掛けてくるというイメージをお持ちでしょうが、それは表面的なイメージです。きちんと対応すればきちん応えてくれますよ。そもそもムチャなこと言っても損をするのは向こうですから」
――キューバの現地紙で、萩原さんが「キューバ球界のファミリー」だという特集記事か組まれていたのには驚きました
「私もです(笑)。ただ、確かに実際のところ今最もキューバに足を運んでいるスカウトは私かもしれません。連盟のベレス会長とは頻繁に連絡を取り合いますし信頼してもらっています。逆にドミニカ人の関係者からは、全然ドミニカ人を獲得しないじゃないかと冷やかされています(笑)」
――トミージョン手術からリハビリ中のスアレス投手の近況は?
「先日、プエルトリコでリハビリ中の彼を訪ねてきました。気持ちを切らさず頑張っています。モイネロの登場で彼の立場も全く安泰というものではないですから、危機感を持っていますよ。彼も真面目でハングリーな男なのできっとやってくれると思います」
――復帰後は、ご自身が獲得した両選手が外国人枠をかけて争うという構図が生まれるかもしれません
「これは本当に二人ともがんばって欲しいというのが本心です」