モイネロ、スアレスを発掘。ソフトバンク中南米スカウトが語る「宝探し」の真髄【インタビュー】
近年、常に優勝候補に挙がる福岡ソフトバンクホークスだが、その強さを支えているのが外国人選手のスカティングだ。モイネロやスアレスは獲得当時、まだ無名の若手選手だったがリーグ屈指の活躍を見せている。その選手たちの獲得に尽力した萩原健太中南米担当スカウトに話を聞いた。(取材:文:高橋康光)
2018/02/06
Yasumitsu Takahashi
「プロ経験なし」が原動力に。次なる“発掘選手”は?
――2018年の活動予定は
「4月からはメキシコリーグを中心に、秋口からは各地のウインターリーグ回りという大きなサイクルは同じでしょうが、すでに回っているところについてはある程度情報は持っていますから、合間を縫って行ったことのない地域にも足を運べればと思います。キュラソーは有名ですが、コロンビア、ニカラグアなど、野球が割と盛んに行われているところもあります。そういうところに逸材がいるかもしれません」
――これだけ世界を回っても、年間1,2人獲得するかどうかということを考えると本当に気が遠くなる仕事ですね
「確かに宝探しですね。ただ、自分はプロ選手としての経験がありません。幸い、スアレス、モイネロと2年連続で私が獲得した選手が活躍してくれましたが、もし獲得した選手が期待外れに終わってしまった時に、やっぱりアイツは選手経験がないからなあ、と思われるのだけは絶対にイヤなわけです。
自分を採用してくれた球団に対しても申し訳ないですし、私のように選手経験がない中でスカウトを目指そうという人の道を閉ざすことにもなりかねないからです。そういう意味で常に危機感は持っていますし、特にこの中南米という地域では他の球団に負けられないという思いで活動しています」
萩原スカウトは、私と会ったこの日も「さっき、最速150キロは余裕で出すと聞いた子のチェックに行ってきたんですが、140キロくらいでしたね。話を盛ってくる選手代理人も結構いるので、肩透かしを食らうことも本当に多いですよ(笑)」と仕事帰りのところ疲れを見せず話してくれた。それでもこうした原石探しの旅が好きだという。
自身の獲得してきた選手たちを「ハングリー」と評価する萩原スカウトだが、何よりもまず彼自身が「ハングリー」であることがインタビューからもお分かりいただけると思う。自分自身が中南米スカウティングのパイオニアという強いプライドと自覚を持って旅を続ける彼が次に見つけてくる選手はどんな選手なのだろうか?