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原監督流の愛の鞭? 阿部慎之助の捕手復帰劇の裏で、プロ最大の試練を迎えた小林誠司

2日の中日戦でベテランの相川が故障。阿部のコンバートを後押しした、FA補強のベテラン捕手の長期離脱が決定し、早くも捕手・阿部が復活した。しかし、このまま捕手・阿部を貫かせては、決して巨人の未来は明るくはならない。

2015/04/06

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原監督決断の背景は?

 復帰初戦こそ阿部の盗塁阻止など奮闘むなしく4連敗となったものの、4日は阿部が決勝打を放ち連敗ストップ。そして5日には2連勝を飾った。劇薬ともいえるカンフル剤は、ここまでは一定の効果をみせたともいえる。

 ただ、長期的視野に立てば、果たしてどうだろう。そもそも相川のケガによる長期離脱とは、「1%」程度の見立てではなかったはずだ。ここ3年間は最高でも72試合の出場にとどまり、故障がち。悪いシナリオとして、想定しておかなければならないケースだ。

 連敗が重なっていたとはいえ、それも3。しかも開幕直後だ。開幕での出遅れは大きなハンデには違いないが、長いペナントレースを考えれば、巻き返しをはかる機会はいくらでもある。

 阿部の後釜として期待される2年目の小林誠司の教育という意味でも、出場機会を失い、大きく後退しかねない。相川の穴を埋めるべく、巨人には経験豊富な実松一成、加藤健らベテランや、河野元貴、鬼屋敷正人ら打力が光るベテラン捕手も控えているのにだ。

 悪く言えば、正に朝令暮改。現場さえも混乱させかねない決断を、なぜ原監督は下したのだろうか。

 思うに、ヒントは過去の原采配に隠されている気がする。

奮起を求められる、次世代の正捕手
 今回の急転劇。最もこたえたのは誰だろうか。一部からは批難の声も浴びるであろう原監督でも、阿部でもない。小林である。

 阿部の後継者としてダメ出しをされたようなもの。原監督は往々にして、選手に厳しく崖から突き落とすような態度を取り、そこからはい上がるのを待つことがある。かつての阿部や高橋由伸、長野久義、村田修一らも、そうした愛の鞭を経験してきた。

 小林の、3日時点で8打数1安打の打力はもちろん、リード面にも不満を持っていたのは間違いないだろう。今の状態では戦い抜けない。そう指揮官が判断したのならば。出場機会は一時的に奪うことになるが、小林への別角度からの教育、という側面もあるのではないか。

 いずれにせよ、今後10年間というスパンで見た場合、捕手・阿部には未来がない。現状、そこを背負うべき一番手は小林なのだ。

 この屈辱的な状況をどう感じるか。そしてどうつなげていくか。

 原監督は遠くない将来、もう一度小林にチャンスを与える可能性が高い。そこでそれをモノにする準備と努力が必要だ。
 それは相川の復帰時かもしれない。あるいは、阿部との併用の中で、集中的にマスクを任される時期が増えるのかもしれない。

 もちろん勝敗に直結するポストだけに、待っているだけではそのチャンスさえ与えられないだろう。そこは他の野手と違うところ。練習や、コーチ・投手陣とのミーティングなどの中で、確固たるアピールが必要だ。埋もれてしまえば、後継者候補自体を、またゼロから探す段階に戻らざるをえない。

 このまま捕手・阿部を貫かせては、決して巨人の未来は明るくはならない。
 阿部の捕手復帰劇の裏で、プロ最大の試練を迎えた小林。その双肩に背負うものは、自分一人だけの将来ではない。

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