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試合の流れ変えるには十分、わだかまり残るCSのリプレー検証。大一番こそ一層の配慮必要【小宮山悟の眼】

福岡ソフトバンクホークスがパ・リーグ2位からクライマックス・シリーズ(CS)を勝ち上がり、日本シリーズでセ・リーグ王者の広島東洋カープを下した。昨年のセ・リーグ同様、今年もリーグ優勝チーム以外が日本シリーズに駒を進めた。さらにソフトバンクは短期決戦の勝負強さを発揮し、2連覇まで果たした。(取材:10月24日)

2018/11/06

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問題となった第5戦のリプレー検証

 一方、今回のパ・リーグCSの試合の中で問題となった場面もあった。第5戦のリプレー検証だ。5回裏、3点ビハインドの西武が2点を返した後、一塁走者の秋山が盗塁を試みてアウトになった。タイミングは微妙で西武側がリクエスト。長い検証の末、判定は覆らなかった。
 
 審判団がどのような協議をしていたかはわからないが、ゲームの流れを変えるには十分に長い時間だった。あの間が与えた影響は大きいだろう。
 
 リプレー検証の判断は、もっとスピーディーに行われるべきだろう。検証時間が長ければ誰でもわかるというように、与えられた時間でスムーズに対応することが求められる。また、ジャッジの問題にしても、本当に確実にアウトと断言できたのか。
 
 あのジャッジの判断材料の一つは、秋山の体が浮き上がるタイミングだ。これはテコの原理と一緒と考えると分かりやすい。足がベースに着く前に秋山の体が起き上がるというのは考えにくい。ベースに足がつくことで勢いが止まり、推進力が上に向かっていくので、そこで体が浮き上がる。その瞬間がベースについた時だと判断をすると、映像を見ると守備側がタッチする前に体が浮き上がっている。
 
 検証では、スロー再生で静止画面をコマ送りするので、止まった画像からは体が上がっている動きを判断できない。その辺がどう影響したのか。
 
 もしもの話をするが、あの判定がセーフだったら試合展開はだいぶ違っていただろう。判断までのスピードを含めて、改善の余地があると言わざるを得ない。現状の制度で限界があるのなら、工夫していかなければならない。そして、審判団の問題ではなく、機構側が動くべきことだろう。
 
ポストシーズンなど、重要なゲームになればなるほど、疑問の残る判定はあってはならない。ビッグゲームだからこそ、よりスピーディーで正確なジャッジが必要なのだ。CSなどのポストシーズンは、テレビ局に依頼してカメラの台数を増やすなど、不備のないようにして機構側は配慮すべきだろう。大問題が起きてからでは遅いのだ。
 
小宮山悟
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家を務める。
 
 
氏原英明

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