古巣復帰選手が新たな伝統を作る 中堅層の流出によりチームに欠かせぬ存在に
2019/01/31
あす2月1日から、プロ野球春季キャンプがスタートする。今オフは、フリーエージェント(FA)の人的補償で、読売ジャイアンツの長野久義外野手や内海哲也投手が移籍。主力級選手の新天地での活躍に注目が集まっており、キャンプをさらに盛り上げることになる。東京ヤクルトスワローズでは、福岡ソフトバンクホークスから自由契約となっていた五十嵐亮太投手が10年ぶりに復帰し、古巣での復活が期待されている。
近年、移籍先で自由契約となり、晩年は古巣に復帰する出戻り移籍が目立つ。2015年シーズンには広島東洋カープに新井貴浩氏と黒田博樹氏が同時に復帰し、2016年の優勝に貢献。選手としての活躍はもちろん、若いチームの精神的支柱となる役割を果たした。
現在のFA制度では、大学・社会人出身選手であっても移籍に最低でも7年を要する。なるべく若い方が好条件で移籍できるため、中堅層が流出してしまう。今オフでは、昨季まで埼玉西武ライオンズの主将を務めていた浅村栄斗内野手が東北楽天ゴールデンイーグルスに、オリックス・バファローズのエース格だった西勇輝投手が阪神タイガースに移籍した。
だが、核を担う選手が流出することで、チームは“顔”と“リーダー”を失うことになる。チームの土台となる選手がいることで、若手がミスを恐れないプレーができる環境が生まれる。チームの顔を観に球場に足を運ぶファンが、若手選手を発見し応援する。若手が活躍してチームの中心となる。そのサイクルこそが常勝への道なのだ。
晩年の古巣復帰は、このどちらも解消してくれる。球団は、選手の人柄や実力、実績をよく知っており、ファンの認知度も高い。選手によっては将来の首脳候補としても期待できる。また、よりフレキシブルな伝統を作っていくことが可能になる。数少ない生え抜き選手とともにチームの歴史を守りながら、他球団を経て持ち帰ってくる、より良い発想を還元し、新たな伝統を築いていくことができるのだ。移籍市場が活発でない日本球界において、戻ってくるというのは、大きな意味を持つのではないか。
一方の選手側としても、育った場所で初心に立ち返ることができ、他球団に移籍するよりは比較的馴染んでいきやすいというメリットがある。また、成績が下降している中で、選手として声をかけられることは、大きいのではないだろうか。
昨季は、青木宣親外野手の復帰で前年最下位からリーグ2位へと躍進したヤクルト。五十嵐の加入が4年ぶりのリーグ優勝へと導く。
昨季の主な古巣復帰選手成績一覧
松井稼頭央(西武~MLB~楽天~)リーグ1位
古巣最終年:140試合、打率.305、33本塁打、84打点、13盗塁
復帰前年(楽天):44試合、打率.211、2本塁打、10打点
昨季成績:30試合、打率.154、0本塁打、2打点、1盗塁
青木宣親(ヤクルト~MLB~)リーグ2位
古巣最終年:144試合、打率.292、4本塁打、44打点、8盗塁
復帰前年(MLB):110試合、打率.277、5本塁打、35打点、10盗塁
昨季成績:127試合、打率.327、10本塁打、67打点、3盗塁
上原浩治(巨人~MLB~)リーグ3位
古巣最終年:26試合、6勝5敗、1セーブ、5ホールド、防御率3.81
復帰前年(MLB):49試合、3勝4敗、2セーブ、14ホールド、防御率3.98
昨季成績:36試合、0勝5敗、14ホールド、防御率3.63
渡辺直人(楽天~横浜・DeNA~西武~)リーグ6位
古巣最終年:115試合、打率.265、0本塁打、26打点、12盗塁
復帰前年(西武):32試合、打率.235、0本塁打、3打点
昨季成績:69試合、打率.208、2本塁打、12打点
鶴岡慎也(日本ハム~ソフトバンク~)リーグ3位 ※FAで復帰
古巣最終年:114試合、打率.295、2本塁打、26打点、1盗塁
復帰前年(ソフトバンク):29試合、打率.321、3本塁打、5打点
昨季成績:101試合、打率.243、2本塁打、22打点、1盗塁
實松一成(日本ハム~巨人~)リーグ3位
古巣最終年:64試合、打率.176、2本塁打、4打点、2盗塁
復帰前年(巨人):14試合、打率.000
昨季成績:1試合、打率.000