巨人・ビヤヌエバの危険スライディングに厳しい目を ルール制定の意義、一歩間違えれば大けがも
2019/04/11
読売ジャイアンツは9日、中日ドラゴンズと敵地で対戦。6回に、クリスチャン・ビヤヌエバ内野手が、今季新たに「リクエスト」の対象となった“併殺崩しの危険なスライディング”をしたとして、リプレー検証の結果、警告が与えられた。
併殺崩しを目的とした危険なスライディングについては、2017年から野球規則に追加。また今季から、「リクエスト」制度でもって、本塁での衝突(コリジョン)プレーや併殺阻止の危険なスライディングについても、リプレー検証を求めることが可能になった。
MLBではNPBよりも1年早い2016年から、併殺崩しの危険スライディングを禁止するルールが採用された。2015年に姜正浩内野手(当時パイレーツ)やルーベン・テハダ内野手(当時メッツ)がスライディングによる接触プレーで大けがを負ったことが背景にある。また、コリジョン・ルールについては2015年から施行されている。
一方で、昨年5月に行われたシカゴ・カブス対ピッツバーグ・パイレーツの試合では、満塁の場面でカブスの三塁走者アンソニー・リゾーの本塁へのスライディングが捕手の足に接触。それにより捕手の送球が逸れて、結果2者が生還するというシーンがあった。パイレーツのハードル監督は守備妨害ではないかとリプレー検証を要求したが、確認の結果判定は覆らず、この判定を受けてファンからも否定的な声があがった。
米メディア『USA TODAY』によると、試合後リゾーは「精一杯のプレー。決して誰かを傷つけようとしたわけではない。幸運にもダブルプレーにはならず、誰もけがをしなかった。いいプレーだったと思う」とコメント。ルール制定後もなお、危険なプレーがなくなる様子はない。
今回のビヤヌエバのプレーは、リプレー検証の結果、守備妨害の判定で打者走者(小林誠司)もアウトとなった。だが、結果としては併殺完成と同じ状況となっただけだ。また、ビヤヌエバ自身に対しても警告だけで終わっている(警告2度で退場処分)。裏を返せば、警告1回で済んでしまうのであれば、重要な場面で故意に危険スライディングが行われてもおかしくないということだ。一歩間違えれば大けがにも繋がりかねないプレーであるだけに、厳しい目を持たなければならないのではないだろうか。
▽公認野球規則6.01(j)併殺を試みる塁へのスライディング
走者が併殺を成立させないために、“正しいスライディング”をせずに、野手に接触したり、接触しようとすれば、本条によりインターフェアとなる。
本条における“正しいスライディング”とは、次のとおりである。走者が、
(1)ベースに到達する前からスライディングを始め(先に地面に触れる)、
(2)手や足でベースに到達しようとし、
(3)スライディング終了後は(本塁を除き)ベース上にとどまろうとし、
(4)野手に接触しようとして走路を変更することなく、ベースに達するように滑り込む。
“正しいスライディング”をした走者は、そのスライディングで野手に接触したとしても、本条によりインターフェアとはならない。また、走者の正規の走路に野手が入ってきたために、走者が野手に接触したとしてもインターフェアにはならない。
前記にかかわらず、走者がロールブロックをしたり、意図的に野手の膝や送球する腕、上半身より高く足を上げて野手に接触したり、接触しようとすれば、“正しいスライディング”とはならない。
走者が本項に違反したと審判員が判断した場合、 走者と打者走者にアウトを宣告する。その走者がすでにアウトになっている場合については、守備側がプレーを試みようとしている走者にアウトが宣告される。