壁を越え、1軍の戦力になった渡邉諒――今ファイターズ打線に必要なパンチ力【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#100】
オープン戦絶好調だった打線は、いざ開幕すると主軸が不調で苦しい状況が続いた。しかしようやく大田が復調し、またここにきて渡邉諒など1軍の戦力となる選手が現れてきた。
2019/04/28
淺間離脱も、まもなく清水が復帰予定
それから渡邊諒に成長の跡が見えた。24日は勝ち越しタイムリー、25日は試合をいったんひっくり返す3ランホームラン。ヒーローインタビューのお立ち台にも立った。下位打線でパンチ力のあるところを見せてくれたのだ。まさに今、ファイターズ打線にいちばん必要なところだ。
僕がハッとしたのは24日のタイムリー2塁打だった。2点ビハインドを追いついて尚も1死1、2塁の場面。あ、打つなぁと思ったのだ。あまりにもざっくりした感覚的な物言いで恐縮なのだが、得心するように「あ、なべりょ、これは何とかするな」と思った。渡邉諒からそういう感じを受けたのは初めてだ。これまでは「これからの選手」「ガマンして使う選手」という認識だった。が、そのとき渡邊諒は壁を越えていたのだ。いつから越えた? 僕は見落としていたのだろうかと思う。
戦力になった。感覚的にはしっくり、サマになって見えたのだ。この打席何とかするなぁと思える。(結果は)何とかならないこともあるけど、何とかしようとした意図が見える。球を一球一球追いかけない。狙いがある。渡邉諒がこの先、一流の選手になるかどうかは本人次第だけど、1軍の戦力になった。僕はものすごく嬉しかったのだ。
だから25日の2号3ランはやってくれたなぁと飛び上がった。僕はこの2試合が渡邊諒のブレークスルーだった気がしている。後々、振り返ってそう言われることになるんじゃないか。昨シーズンから試合に使ってもらって、打席に立ち続けたことが実を結んだと思う。これが経験ってやつだ。
脇腹をケガして戦列を離れ、焦りもあったに違いないけど、よく戻ってきてくれた。もうすぐ清水優心も帰ってくる。これはプラス材料だ。故障で苦しんだ選手が1軍復帰して、戦力になってくれるのだ。ムードが明るくなる。そうやって打線も少しずつ上向いてくれたらいい。
それから淺間大基が右すねの骨挫傷を負ったと報道で知った。僕はつい先週、ヤクルト戸田に淺間、清水、石井、そして石川直也を見に行ったばかりだ。今年に賭けていた姿を知ってるだけに、淺間のケガは痛恨事だ。天才肌だがケガの多い選手、と見られるのもシャクだろう。どうか逆境に負けないでほしい。レギュラーを掴む前の糸井嘉男も大事なところでケガばかりしていた。必ず飛躍のときは来る。淺間の飛躍を信じているのは僕ひとりじゃないはずだ。
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