ペナント争いに大異変? 交流戦11年目のルール変更【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、11年目を迎える交流戦の過去の成績と今季から導入されるルールについてだ。
2015/05/26
全球団の傾向は、ホームに強くロードに弱い
トータルの勝敗を見てみよう。
ソフトバンクは唯一勝率が6割を超えている。優勝も最多。交流戦の最強チームといえる。セリーグで優勝しているのは巨人で2回のみ。トータルでもパリーグはセリーグに圧勝している。
これは広島とDeNA(横浜)が、極端に勝率が低いことが大きな原因だ。この2チームで98も負け越している。たとえば、オリックス相手だと過去5年間見ても、DeNA(横浜)は4勝15敗1分、広島は5勝15敗という状況だ。
しかしこの2年で広島が力をつけ、今年はDeNAが快調に首位を走っている。今年は接戦が期待できそうだ。
もう一つ、ホームとロードの勝率に注目してほしい。
ヤクルトを除く11球団は、ホームでは強いが、ロードでは弱い。レギュラーシーズンでもその傾向はあるが、ここまで極端に振れることは少ない。
さて今季は交流戦のルールが変更になった。
これまで8年間、ホーム、ロード2試合ずつの4試合総当たり、合計24試合で戦われていたが今季からホーム、ロードいずれかで3試合、合計18試合になった。翌年は同じカードでロード、ホームが入れ替わる。
つまり、交流戦はホームだけ、あるいはロードだけで戦うことになった。過去のデータから見ても、ホームで戦うほうがかなり優位なことを考えると、各球団の条件は大きく異なることになる。
今季の予定をまとめた。Hはホーム、Rはロード、上位は上位球団を示す。今季の現時点での順位の順番でならべた。
パリーグは、日本ハム・ロッテ・楽天がセリーグの上位球団とホームで当たり、下位球団とロードで当たる。
反対にソフトバンク・西武・オリックスはセリーグの上位球団とロードで当たり、下位球団とホームで当たる。
セリーグはホーム6試合、ロード3試合あるいはホーム3試合、ロード6試合となる。
一概には言えないが、特にパリーグは交流戦で全体の順位が入れ替わる可能性もあるのではないか。
最後に個人成績に触れておこう。
過去10年の交流戦における投打のタイトルホルダー、表彰選手を一気に出す。
意外な顔ぶれも散見されるが、両リーグの実力者がずらっと並んでいる。外国人選手も多い。そして若手選手が少ないことがわかる。対戦成績が少ないことや、リーグ間の対抗意識などが、個人記録にも影響しているかもしれない。
現役で目立つのは、打者では、本塁打王2度と打点王1度獲得している中村剛也。投手では最多勝1度、最多奪三振3度の杉内俊哉、最多勝2度の内海哲也というところだろう。
ルールが変わった今年は、交流戦で新しいヒーローが登場するだろうか。勝敗の行方とともに注目したい。
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