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若手出場機会増でチーム活性化も……谷繁中日が解決すべき、2つの課題【横尾弘一「野球のミカタ」】

谷繁元信監督で2年目を迎えた中日ドラゴンズ。主力選手を故障で欠きながらも、福田、亀澤、高橋周ら次世代の台頭もあり、交流戦前まで借金2で終えた。ここから上位に浮上するためには2つの大きな問題を解決する必要がある。

2015/05/26

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魔の8回を乗り切れ

 ディフェンス面では8回の失点が極めて多く鬼門となっている。
 
 開幕から痛い失点を重ねていた又吉克樹が5月16日に出場選手登録を抹消されるなど、ストッパーを担う福谷浩司も含めてリリーフ陣の若さが、すっきり逃げ切れない原因とも見られている。
 
 ただ、又吉も福谷も、そうした勝敗を分ける場面を任されて2年目である。谷繁監督は捕手からの視点も生かし、福谷が絶対的な守護神、又吉も安定したセットアップマンに飛躍できるよう“託す”起用を続けてきたが、そうそう期待通りにならないのも現実だろう。
 
 8回が鬼門になる原因は、先発投手にも大きな責任がある。
 
 7回まで投げたとはいえ、試合の流れが相手に傾きかけたところでバトンを渡してしまうと、又吉、福谷で逃げ切れというのは酷だ。開幕投手を務め、先発ローテーションを守っているものの変化球の精度を欠く山井大介ら、先発陣が投球内容をさらに安定させることが、試合終盤の攻防でも大きな意味を持ってくると考えられる。
 
 リリーフ陣にバトンをつなぐ際にも、8回は又吉、9回は福谷と形にこだわるよりも、その日の投手のコンディションや相手打線の顔ぶれも踏まえた上で、浅尾拓也、髙橋聡文をうまく絡ませていく“臨機応変”な起用がベターではないか。
 
 誰が見ても明らかにベテランを追い抜かなければ、若手がレギュラーとして起用されることのなかった落合博満監督の時代に比べて、谷繁監督は高橋周平を筆頭にチャンスを与えることでチームを活性化させる方法論を推し進めている。ただ、そうした戦い方は勢いに乗った時はどこまでも突き進めるが、何かのきっかけで躓くと立て直すのに時間を要する。それが、7連勝もあるが3連敗以上を4回喫している結果からもわかる。だからこそ、勝機をつかんだ試合をきっちり取ることが何より成長の糧となる。常勝チームという高い理想を描きながら、今日の試合は現実論でものにしていく戦い方を、オールスターまでの1カ月半で確立できるかどうか。それが大きなポイントになる。
 
ペナントVへの星勘定。「5勝できる先発を8人」落合博満監督が森繁和コーチへ指示した意図【横尾弘一「野球のミカタ」】
 
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