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【データで選出5月月間MVP】3・4月の不振から見事脱却の西武・秋山翔吾がトップ。広島カープ・大瀬良大地は月間1四球と圧巻の投球

2019/06/07

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1番打者復帰のタイミングで調子を取り戻した西武・秋山

 評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。

 まず野手から見ていく。パ・リーグは秋山翔吾(西武)、セ・リーグは鈴木誠也(広島)がそれぞれ20.6点、21.5点と最高の貢献を果たした。いずれも2位以下に圧倒的な差をつけての1位だったようだ。
 
 秋山、鈴木がともに大きな差をつくったのが打撃だ。5月の打撃成績を得点に換算すると、平均的な打者と比較してそれぞれ18.5点、15.6点多く生み出したと考えられる。特に圧倒的だったのが秋山だ。今季は3番打者としてスタートし、開幕直後は不振に苦しんだが5月途中から1番打者に復帰。すると本来の調子を取り戻し、月間41安打9本塁打でチームを引っ張った。
 
 秋山のほかにもアルフレド・デスパイネ(ソフトバンク)、宮﨑敏郎(DeNA)ら、3・4月に苦しんだ打者が5月になって調子を上げていたようだ。
 

広島・鈴木は強肩により走者の進塁を躊躇わせる貢献

 守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
 
 セ・リーグトップの鈴木は守備面でも2.9と高ポイントを記録した。強肩を生かした補殺で評価をためたようだ。しかし強肩の効果はそれだけでない。鈴木が捕球した際、多くの走者は先の塁を狙ってアウトになることを恐れ、塁にとどまるケースが増えていたようだ。このような貢献も鈴木の守備の得点には含まれている。

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