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巨人・原監督の掲げるチームスローガン「新成」「野性味」が実を結ぶ日

現在セリーグ2位に位置する巨人。開幕から故障者が絶えず主力メンバーの不振もありながらも、上位に定着している強さは健在だ。

2015/05/30

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あえて口に出さない「優勝」

 もし原監督が「有事」が起こってしまったにも関わらず「99パーセントない」とぶち上げた開幕前の言葉を重んじ、自らの面子を保つために阿部を正捕手に戻さなかったとしたら、チームは現在のポジションをキープできていなかったかもしれない。思わずゾッとしてしまう。チームが危機を乗り切っていくための最善の手段を考え、阿部の一塁コンバートについて〝勇気ある撤回〟を決めたのだから原監督の決断力は賞賛されて然るべきであろう。事実、こうやってチームは結果を出しているのだ。

 そして、もう1つ。原監督には今季、心がけていることがある。それはメディアから、どんなに突っ込まれても、あるいはどんなに求められても「優勝」を口にしないことだ。昨季は開幕前、開幕後も一貫してVを掲げてきたが、今年に関して言えばシーズン開幕後は具体的なチーム目標についてダンマリを決め込んでいる。

 当然ながらチーム全体としてリーグ4連覇、日本一奪回を狙っているのは間違いない。それでもあえて言わないのは選手たちに余計なプレッシャーをかけないようにしていることに加え、今年のチームスローガンである「新成」と「野性味」を全体に植え付けようとしているからである。

 指揮官が戦いにおいてレールを敷くのではなく、自分たちの手で道を切り開いていってほしい。そして若い選手を中心に遮二無二なって暴れまくり、いい意味でノビノビと型破りな戦いを見せてほしい――。そういう原監督の考えに多くの選手たちも強い共感を覚えている。だから現在、打者で突出した成績を残す選手がいなくても巨人はまとまりのあるチームプレーを要所で見せることができ、勝ち星をしっかりと着実にものにしているのであろう。指揮官として円熟期に達した原監督の存在こそが、今のジャイアンツにとって何物にも代え難い〝重要戦力〟となっている。

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