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石川直也「リリーフエース」としての課題。宮西の投球から大局観を学べ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#105】

近い将来、リリーフエースとして期待される石川直也。しかし、その座をつかむためにはまだまだ学ぶべきことが多い。

2019/07/07

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秋吉復帰でセットアッパーとして試される場面だったが……

 今週のコラムは石川直也を取り上げる。本稿執筆現在は7月6日未明、ファイターズは仙台で楽天3連戦のカード頭を取った後だ。楽天13回戦は先発・有原航平に尽きる。7回投げて被安打1奪三振11のナイスピッチング。もちろん無失点だ。先発が7回を投げ切ってくれると後ろが楽だ。残りは8、9回の2イニング。スコアは4対0。もう、どうとでもなる。
 
 僕はリリーフの順番に思いをめぐらせていた。その日は秋吉亮がケガから戦列復帰し、ブルペンにいた。果たして秋吉が離脱する前の「石川直→秋吉」の順だろうか、それとも復帰してすぐに抑えじゃ負担が大きいから開幕当初の「秋吉→石川直」に戻すだろうか。また間に宮西尚生ははさむだろうか。
 
 そうしたら8回のリリーフ陣がもたついたのだ。有原の後を受けたのは公文克彦だった。先頭打者の代打・下水流昂(パ初打席)の強烈なサードライナーは谷内亮太が好捕し1アウト。そこからがいけない。茂木栄五郎センターへヒット、銀次タイムリー2ベースで1点返された。たまらず石川直にスイッチだ。おお、直が先に出てきたかと思う。これはつまり「秋吉さんが戻ったからお前はセットアッパーな」ということだ。微妙なシーンだ。秋吉の留守中、抑えを務めてきたという自負があるならカチンと来て、意地でもピシャリと抑えてアピールすべきだ、
 
 ところが期待を大きく裏切る投球内容なのだった。最初のブラッシュを三振に取ったまでは良かった。そこから浅村、ウィーラーをストレートの連続四球である。ストライクが1球も入らない。審判との相性みたいなことを言っててもしょうがない。どんな場面でも投げるのがリリーフエースだ。そして今の石川直は「リリーフエース」の安定感から程遠いのだった。まだまだ学ぶことが山積している。
 
 石川直が登板したのは終盤の8回、1死2塁の場面だ。得点差は3点ある。どうするといちばんいけないか。ランナーをためることだ。逆に言えばランナーさえためなければ、ホームランを打たれたってまだ1点勝っている。大胆に行っていいシチュエーションだ。なのに連続四球で、2死ながら満塁をつくってしまう。最悪の展開だ。
 
 2死満塁で石川直に代わって出てきたのは宮西尚生だった。宮西は島内宏明に対し、カウントを悪くする。が、宮西というのは打者を術中にハメるためにわざと3ボールにするくらいの投手だ。結局、フルカウントになり、最後はボールになるつり球を見極められ、四球押し出しである。これでスコア4ー2。
 
 ただ僕はあんまりショックはなかった。3点差、2死満塁。宮西は打たれなければいいのだ。ベテラン左腕は「押し出しの1点はぜんぜんオッケー」と割り切っていたはずだ。ランナーは関係ない。あくまで打者勝負。四球押し出しは3人までできる。3人押し出してもまだ負けてないのだ。それだけ余裕がある。攻められる。遊べる。案の定、次の代打・太田光を三振に切って取りピンチをしのいだ。

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