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【データで選出9月月間MVP】巨人を優勝に導いた坂本勇人が両リーグトップの貢献。投手では快挙達成の2人が最高評価

2019/10/08

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DELTA、Getty Images



優勝チームの主力選手がセパともにトップ

評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。

 まず野手からみていく。セ・リーグは坂本勇人(巨人)、パ・リーグは外崎修汰(西武)、がそれぞれ12.9点、9.0点と最高の貢献を果たした。坂本は首位攻防戦となったDeNAとの試合で1試合2本塁打を放つなど、9月も長打を連発。月間7本塁打を放ち、自身初の40本塁打に到達した。坂本の打撃は平均的な打者と比較して11.7点多くチームの得点を増やしたと評価できる。
 
 ほかには打撃で6.2点を記録した廣岡大志(ヤクルト)にも触れておきたい。ここで使用する打撃貢献の指標は良い質の打席を多くこなすことで数字を伸ばすことができる。打席数が少ないと、値は伸びにくい。にもかかわらず廣岡はわずか49打席で両リーグ全体6位の値を記録。少ない機会ながら質の高い打撃ができていたことがわかる。ヤクルトは今季最下位に終わったが、廣岡が終盤に見せた働きを来季も継続できれば、巻き返しは十分可能だ。

パ最高評価の西武・外崎は守備面でも大きな貢献

 守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
 
 守備では外崎が4.2点と高得点を記録した。外崎は9月18日のオリックス戦で、二塁手として1試合でゴロを7度処理するなど、守備範囲の広さで失点抑止に貢献。打撃貢献は4.2点と他選手に比べて図抜けて高いわけではなかったが、攻守両面でバランスよく積み重ね、総貢献でリーグ1位となっている。西武では森も守備面で高評価。主力野手が打撃だけでなく守備でも違いをつくったことが、西武が優勝を果たした一つの要因といえるだろう。

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