過去「地球上最強の左腕リリーフ」との評も 中日の新助っ人ラファエル・ペレスの実力
ドラゴンズが新助っ人として、メジャー通算338試合登板の実績を誇る左腕、ラファエル・ペレスの獲得を発表した。かつての圧倒的な投球は望めないが、内野ゴロを量産する堅実なピッチングに期待がかかる。
2015/07/11
生命線はスライダーでゴロに打ち取る
2012年の8登板を最後にメジャーでの登板はないものの、昨年は3A、打高で知られるメキシカンリーグなどで103イニングに登板し防御率2.87、今年はマリナーズ傘下3Aで13試合に先発し、5勝5敗防御率1.99を記録するなど、マイナーでは再び先発で起用され抜群の成績を残している。
持ち球はカット系の変化をする速球に、大小2種類のスライダー、チェンジアップの3球種。09年には平均91.4mph(146km/h)を記録していた速球の球速は、14年には平均87.1mph(139km/h)まで下落しており、日本とアメリカのマウンドの違いも考えればスピードには期待できそうもない。
スピードの低下に加えMLB通算の被打率は.354と速球に不安のあるペレスの投球の中心となっているのがスライダーだ。奪三振の70%以上をこの球で奪っているのに加え、ストライク率66.2%、ゴロ率57.4%とカウント球、ゴロを打たせるボールとしても機能しており、近年は投球の約半分をこのスライダーが占めている。
ペレスの武器としてあげられるのが、その制球力とゴロを打たせる能力だ。
MLB通算では3.2と平均程度ながら、3Aで投げている14,15年には2年連続で与四球率1.7と非常に優れた数字を残している。制球難から自滅していくことはまず考えにくい。一方でモデルチェンジ後の奪三振率は5.25、今年の3Aでも5.8と平均を大きく下回る数字が出ており全盛期の奪三振ショーは望めないだろう。
奪三振率の低いペレスが高いパフォーマンスをキープできるのはひとえに低めをついて内野ゴロを量産する能力があるからこそ。MLB通算のゴロ率は54.5%と平均を上回っており、今季も3Aで57%と高いゴロ率を維持している。10、11年には2年連続で併殺打11本(それぞれ救援5位、2位)を記録しており、ピンチを併殺で切り抜ける能力にも長けている。
かつてのような支配的なピッチングは期待できないものの、優れた制球力とゴロを打たせる能力、高いレベルで経験を積んできた実績を考えれば、ペレスの獲得は中日にとってけしてマイナスにはならないだろう。
先発、そしてリリーフで堅実にゲームメイクをこなす働きが期待される。