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“返す人間”万波中正に寄せる期待。打線構想練り直しの今こそ経験を積むチャンス【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#149】

交流戦のタイミングで昇格した五十幡によって打線の形が出来上がり、チームは上位への巻き返しを図ったが、五十幡は故障で登録抹消。2軍調整から戻ってきた主砲・中田翔も急性腰痛で再度離脱となってしまった。この状況下で栗山監督は若手を積極的に起用しはじめた。

2021/06/13

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誰が中田翔を「過去の選手」にしてしまえるか

 それがねぇ、一瞬だったんだ。五十幡はまたも筋肉系のトラブル(肉離れ)、中田は急性腰痛(ぎっくり)で離脱だ。
 
 五十幡は身体能力が高すぎる。出力が大きすぎるのだ。例えば高校生の身体で160キロを投げる投手がいるとする。これは慎重に管理しないと必ず壊れる。腕が160キロで飛んでいってしまうのだ。そんな出力で腕を振るように人間の身体は設計されてない。だから土台となる身体づくりが必要になる。五十幡の場合は硬すぎる札幌ドームの芝(薄いカーペット)も心配のタネだ。サラブレッドをコンクリートの上で走らせてるようなものだと思う。
 
 ファイターズは構想を練り直すことになる。五十幡のところに淺間はすんなり決まった。問題は大砲不在だ。中田急性腰痛、大田泰示不調、ロニー・ロドリゲスさっぱり、清宮幸太郎1軍登録なし。僕は清宮に期待を寄せているが、2軍戦を見てると依然としてセカンドゴロをひっかけている。もしかしたら新外国人選手を緊急補強すべき状況かもしれない。
 
 6月11日のDeNA戦は(濱口遥大に完封負けを食らった試合だが)面白い打線を組んだ。「1番淺間、2番万波、3番高濱、4番近藤」の横浜高校カルテットだ。結果が出たわけじゃないが、栗山監督は若手の大胆起用を考えている。世代交代を促す考え方だ。今シーズン成果が出なくても使い続けて、経験を積ませる。「ペナントレースはあきらめたのか?」と訊かれたら沈黙するしかないけれど、チーム状況はそれくらい悪い。
 
 要点を言おう。誰が中田翔を「過去の選手」にしてしまえるか、だ。世代交代というのはそういうことだ。返す人間。新しい打点王は誰がふさわしいか。僕は野村佑希と万波中正しかいないと思う。三振させよう。ゲッツーを打たせよう。野村はそれでも去年結果を出している(但し、彼も故障がちの選手だ、そこが残念)。万波は1軍レベルの投手にまだ歯がたたない選手だ。ボールを振る悪癖がある。まだまだ未完成もいいとこだ。
 
 だけど、万波ほど見ていて楽しい選手はいない。経験を積めば必ず花を咲かせる。僕は鎌ケ谷に行くときは(清宮の復活プロジェクトの確認と)万波の三振を見に行ったものだ。それが1軍で見られる。全力で応援したいと思っている。あ、もちろんたまに打ってくれよ。

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