言ってしまえば“裏方”のような――三木亮の献身性を支えるプロとしての矜持「一日一日しっかり準備」【千葉ロッテマリーンズ・若手選手インタビュー連載#7】
2021/07/15
得意分野は「チーム内では負けたらいけないところ」
6打席4打数無安打(1四球、1犠打)。これが今季の三木の打撃成績だ。昨季は5打席でヒット1本、そして今季は未だ「H」ランプをともしていない。数字だけを見れば決して調子がいいとは言えない今季だが、前半戦の手応えを訊ねると意外な答えが返ってきた。
「上に行ったり下に行ったりで、(チームの)順位も日に日に変わっているという感じなので、その中でチームに対してできることっていうのをしっかり考えてやってきて。言ってしまえば“裏方”のような。途中から(試合に)入ったりとか、そういう機会が多いので、そこに対しての準備というのは、ここまではしっかりできているのかなと」
――“裏方”のような。
仮にもプロの一軍でやっている選手が、自身をこうした言葉で表現するのは珍しいのではないだろうか。
三木と言えば、守備固めや代走を中心に、堅実な守備や小技を効かせ、試合途中からチームに貢献するといった、“便利屋”と呼ばれるような選手のイメージが強いかもしれない。
確かに守備では、内野のどこでも守れるユーティリティ性が重宝されている。特に今季は、全試合出場の中村奨吾が守る二塁を除いて、一塁:21試合、三塁:17試合、遊撃:5試合を守り、無失策(守備率1.000)を誇る。
「守備に関しては、監督・コーチからも一定の評価はもらえているのかなというのは感じますし、攻撃の方では、バントなり、チームバッティングっていう細かいところを評価してもらっているのかなと思うので、そこに関してはチーム内では負けたらいけないところかなと思います」
だが、三木の仕事はプレーだけにとどまらない。たとえば、三木はムードメーカーなのである。他の選手のパフォーマンスに参加したり、誰かがホームランを打ったら真っ先にベンチを飛び出したりと、ベンチを盛り上げる光景が印象的なファンも多いのではないか。
「パフォーマンスに関しては、やってくれとは頼まれていないですけど、ベンチの中にいるメンバーも、僕が裏で準備していてそういう(パフォーマンスをするような)ことが起こったときは、後ろをチラチラ見て『まだ来ないのか』みたいな目で合図をしてくる。こっちも準備しないとダメなので大変なんですけど、そこはできるだけ行くようにはしています」
こうした積み重ねがチームメイトとの信頼関係を築き、ベンチのコミュニケーションを円滑にしているのだ。