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年齢で括らず、段階的成長を促す 子どもたちの野球指導の見直しを【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】

読売ジャイアンツなどでプレーし、その後ロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウトとして当時、黒田博樹投手や齋藤隆投手の入団に携わった小島圭市氏の連載。小島氏は現在、(株)K’sLabを立ち上げ、スポーツ環境の向上から青少年の育成に積極的に関わっています。今回のテーマは「Step By Stepの育成」。アスリートの育成をする上で、まず、練習の進め方や子どもとの接し方などを根本的に見直してみませんか?

2014/12/26

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年齢ではなく身体的な強さに分けた練習がベスト。子どもの身体に適した指導を

しかし、日本の育成の多くは、小さい選手にも大きい選手にも同じことをさせる傾向が強くありませんか? 身体の小さい選手は発達が速いので、早くから活躍する選手が多いです。中学・高校の野球を観ていても、小さい身体の選手はたくさんいますよね。ところが、プロになって身体が大きい選手が多いかというと、そうでもないのです。

それは、中学・高校からゆっくり育成していかないといけないところを、大きな選手でも小さい選手と同じようにやるから大きく育たないのです。身体が大きいのに小さい投手と同じような投げ方をして、こじんまりした投手を見かけますが、彼らはそういう育成をされてきたから、そうなってしまっているだけのことなのです。
 
日本人は戦後、6、70年の中で、身体が大きくなってきました。その要因は何かというと、食事が変わったことです。日本人が動物性タンパク質を多く食べるようになってきたから変わってきたのです。高たんぱく、高脂肪が身体に入るようになり、身体が大きくなってきました。

ところが、現代の子は中身が追いついていないのです。そこには、幼少期からの問題、現代社会が非常に便利になったことに起因しており、スポーツに関しては、育成に問題があるということです。
 
俳優の菅原文太さんがお亡くなりになられる2~3年ほど前に、「世の中は、もうこれ以上便利にならないほうがいいのではないか」と語っていたそうですが、地球が非常に便利になり、人間の機能が退化しているということを危惧されたのではなかったでしょうか。

こういう時代だからこそ、木登りや体操競技のような、原始的なトレーニングが重要なのです。
機会を与えてあげないと育たなくなっている現実がありますので、各地域のクラブチームやスポーツ教室などでそういった取り組みをしていく必要性があるのではないでしょうか。

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小島圭市 (2)

元ロサンゼルスドジャース 日本担当スカウト
小島圭市(こじま・けいいち)

1968年7月1日、神奈川県生まれ。東海大高輪台を卒業後の86年、ドラフト外で巨人に入団。 92年にプロ初勝利を挙げるなど、3勝をマークした。その後は故障に泣かされ、94年のオフに 巨人から戦力外通告。巨人在籍中の怪我の影響で1年浪人のあと、96年テキサスレンジャーズとマイナー契約。1年間、マイナーリーグで活躍した。翌年に日本球界に復帰し中日ドラゴンズでプレー。その後は、台湾の興農ブルズなどで活躍し、現役を引退した。01年日本担当スカウトに就任。石井一久、黒田博樹(ヤンキース)、斎藤隆(楽天)の獲得に尽力。三人が活躍したことから、スカウトとしての腕前を評価された。2013年にスカウトを退職。現在はジュニア育成のため、全国の小・中学生の指導者へ向けた講演会活動や少年野球教室を展開。2014年には会社「K’sLab」を設立。その活動を深く追求している。

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