元巨人・陽岱鋼から溢れる笑顔。米国の新天地でみせる“純粋に野球を楽しむ姿”
2022/06/07
産経新聞社
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見守る台湾ファンも「こういう人生は羨ましい」
昨年読売ジャイアンツを退団した陽岱鋼外野手は、現在米独立リーグ、アメリカン・アソシエーションの球団レイクカントリー・ドックハウンズに所属。米国の新天地でも活躍するシーンを見せている。
米国時間5月25日、レイクカントリー・ドックハウンズは12-8でケーンカウンティ・クーガースを下した。陽はこの試合で三塁打を含む2安打2打点の活躍で、チームの3連勝に大きな貢献をした。
同22日には、1点ビハインドで迎えた9回裏2死満塁の場面で逆転サヨナラ打を放ち、試合のMVPにも選ばれた。試合後、陽は自身のフェイスブックに満面の笑みを浮かべた写真をアップし、中国語で「MVPのご褒美、チームメイトから奢られた」と綴った。チームメイトからもらったのは、米国ではお馴染みのホットドッグだった。
この投稿に台湾のファンも「素敵な笑顔だね!」、「これは本当に野球を楽しんでいる様子だ」、「(アジアに)戻らなくてもいい、自分の野球を愉しめばいい」などの反応を寄せた。巨人時代の真面目な顔で野球に取り組む姿と比べ、現在の陽は毎試合笑顔で楽しんでいるのが印象的で、ファンも喜びと驚きが半分ずつといったところだろう。
5月13日のデビュー戦では、チーム史上初安打(レイクカントリー・ドックハウンズは今季からリーグに参戦した新球団)を放ち、20日にはホームゲーム初本塁打を記録。さらに22日には初サヨナラ安打もマークした。昨年成立したばかりのチームに、陽岱鋼は多くの「初」を刻んでいる。
台湾では間違いなく大スターだったが、米国では独立リーグであってもほぼ無名の存在。当初アメリカに行くと決めたとき、台湾ファンたちは驚きの声をあげた。しかし、いま陽岱鋼が野球を心から楽しむ様子を見て、改めて考えさせられているようだ。
「正直、こういう人生は羨ましいね」
「もうお金には困らないだろう? だから自分が好きな環境を選んだらいい」
最初、陽岱鋼の決断を理解できなかったファンでも、いまは納得する人も増えてきている。米国の新天地で輝く陽。チーム最年長だが、ファンを魅了してやまないのは、野球少年のような「純粋さ」によるものかもしれない。
鄭仲嵐