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国吉は防御率5.16でも好成績? ロッテ-DeNA間で起こった有吉優樹-国吉佑樹のトレードをデータで分析する

2021/06/16

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ロッテは昨季から救援成績が悪化。佐々木朗希台頭もトレードの決め手に

 6月14日、ロッテ・有吉優樹、DeNA・国吉佑樹のトレードが発表された。翌15日にはロッテ・加藤翔平と中日・加藤匠馬のトレードも発表されており、各球団、補強に対する熱が高まっているようだ。今回は14日に発表されたロッテ-DeNA間の有吉-国吉のトレードについて、データ分析の視点から考察してみたい。
 

 
 まずロッテの視点から考えてみよう。昨季のロッテは後半戦に澤村拓一を獲得。澤村を加えた救援陣のはたらきが中盤以降の好成績にもつながった。ただ今季はその立役者であった澤村が退団。5月17日には序盤戦で救援陣をけん引した田中靖洋も故障で離脱となり、救援陣が手薄になっている。

 客観的にロッテ救援陣の成績を見てみよう。以下にはロッテ救援陣の月別のK-BB%(※1)という指標を示した。これは投手の最も基礎的な能力といえる三振の多さ、四球の少なさの程度を表した指標だ。一般的な指標である防御率は野手の守備力や運によって大きく左右される。投手がコントロールできない野手の守備力や運を排除したうえで評価を行うために、K-BB%で比較を行う。高いほど優れた投球を見せていると考えてもらえればよい。
 
ロッテ救援陣の月別K-BB%
期間       K-BB%
20年6・7月    6.5
20年8月     10.9
20年9月     10.5
20年10・11月  12.5
21年3・4月   7.5
21年5月     9.7
21年6月     7.4
※2021年のデータは6月14日終了時点
 
 これを見ると、昨季8月以降のロッテ救援陣はK-BB%で10%以上、10・11月には12.5%と高い値を記録している。しかし今季に入り数字は10%以下に下落。失点を防ぐうえで極めて重要な、打球を発生させない(奪三振)、無条件で走者を出さない(与四球)という面で、大きくレベルを落としている。こうした救援陣の低迷を見ると、ロッテが国吉獲得に動いたのも納得できる。
 
 その対価としたロッテが放出したのが、有吉だ。有吉は2018年に106イニングを投げるなど、一軍で一定の実績がある先発投手である。また6月に入ったタイミングでロッテは主戦格の石川歩も離脱している。このタイミングで有吉を放出することにリスクはなかったのだろうか。
 
 ロッテの先発は現在、石川が抜けたとはいえローテーション5枠がほぼ固定されている。残りの1枠も変則的なローテーションが組まれる佐々木朗希が埋め、穴が空いた際には本前郁也が投げる。また、そのあとにも昨季60イニングを投げた実績のある中村稔弥が控えている。それ以降の投手には先発の機会がなかなかなさそうだ。こうした先発投手の充実から、有吉放出のリスクは小さいと考えたのだろう。このタイミングで若手の佐々木朗が一軍に定着したことは、トレードの決め手のひとつになったと思われる。
 
(※1)K-BB%。対戦打者あたりの奪三振割合を表すK%から、与四球割合を表すBB%を引いた値。K%とBB%は投手の能力によって決定される割合が高く、投手が自力でどれだけ有効な投球をしているかを測る目安となる。K-BB%が優れている投手はそのパフォーマンスが継続する傾向にあり、将来の活躍度合いを予測するためにも使える指標である。2020年パ・リーグの平均は10.2%。

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