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国吉は防御率5.16でも好成績? ロッテ-DeNA間で起こった有吉優樹-国吉佑樹のトレードをデータで分析する

2021/06/16

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DeNA先発の平均投球回は12球団ワースト。有吉は長いイニングを投げられるタイプ?

 一方、DeNA側から見るとこのトレードにはどのような背景があったのだろうか。まず考えられるのは先発投手の不足だ。DeNAは優秀な先発投手を多く保有するチームだが、今季はその多くが故障し戦線を離脱している。ここまでのDeNA先発の1試合平均投球回を計算すると4.73。つまり約4回2/3となる。これはセ・リーグだけでなく、12球団ワーストの値だ。
 
セ・リーグ1試合あたりの先発平均投球回
阪神   6.06
中日   5.92
巨人   5.66
広島   5.47
ヤクルト 5.14
DeNA   4.73
※データは6月14日終了時点
 
 こうした問題の解決を図って先発の有吉を獲得したのだろう。有吉についてDeNAが注目したのは、おそらく四球の少なさではないだろうか。有吉の通算BB%(打者あたりの与四球割合)は6.8%。今季のパ・リーグ平均が8.8%であるため、有吉が四球を少なく抑えられる投手であることがわかる。
 
ちなみに有吉は今季ファームにおいてこの指標で驚異の1.6%を記録。128人の打者と対戦して、わずか2つしか四球を出していない。過去の研究によると、投手が1イニングあたりの球数を少なく抑えるには、ゴロを打たせることよりも与四球を少なく抑えることが重要なようだ(※2)。そういう意味で有吉はDeNAが求める長いイニングを投げられる可能性のある投手といえるかもしれない。
 
 ただ有吉には大きな欠点もある。奪三振能力の低さだ。有吉の通算K%(1打者あたりの奪三振割合)は11.4%。これは近年のリーグ平均が20%ほどであることを考えると半分ほどの数字である。ちなみに有吉は今季ファームでもK%が4.7%と、二軍の打者相手にすらほとんど三振を奪えていない。
 
奪三振の少なさは、自分の力でアウトをとれず、打球がヒットになるかアウトになるかを、野手の守備や運に頼ることが多くなることを意味する。フィールドに飛んだ打球がアウトになることが多い運の良い日は長いイニングを投げることができるが、そうでない日は大量失点を喫するリスクが高い投手と考えられる。
 
ちなみにDeNAの先発投手が不足するのは今季に限った話ではない。昨季までもそのような状況は見られたが、アレックス・ラミレス監督はオープナーやショートスターターなど、投手運用に工夫を加えることで解決を試みた。昨季10月25日の広島戦では、本来救援の役割を担う6投手のみで継投する「ブルペンデー」で完封も達成している。しかし三浦大輔監督に交代した今季は、ここまでそうした起用が見られていない。特殊な投手運用に対してやや保守的になっているか、あるいは投手運用のレベルではカバーしきれない、そもそもの戦力不足を感じているのかもしれない。
 
(※2)ゴロを打たせることは本当に球数の減少につながるのか?
https://1point02.jp/op/gnav/column/bs/column.aspx?cid=53523

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