打たせてアウトを取る――完成度はナンバーワン。有原航平(早稲田大学)は省エネ投法でプロ入りを目指す!
各球団の有原航平に対する評価は高い。即戦力投手として指名を検討している球団は複数あるといわれている。あえて不安をあげるならば、今秋はヒジの違和感を覚えている点だろうか。
2014/10/19
大瀬良大地らに刺激を受け、8割の力で抑えられる技巧派投手へ
済美・安楽、前橋育英・高橋、智弁学園・岡本……ドラフトの特集雑誌の並びではトップ扱いではなくて4番目辺り。だが、「完成度で言えば今年のドラフト候補の中ではナンバーワン。5球団ぐらいの競合になる」とパ・リーグのあるスカウトは言う。
将来的な伸びしろの可能性にかけるなら冒頭の高校生に魅力があるかもしれない。が、現時点での即戦力評価で言えば、早大の有原航平投手がナンバーワンだ。
東京六大学リーグを最近の数年、遡っても、有原の3年、4年に限れば最高レベルの投手ではないだろうか。
早大三羽ガラスと言われた斎藤佑樹(現日本ハム)、大石達也(現西武)、福井優也(現広島)や、東京六大学で実績の残した野村祐輔(明大―現広島)、福谷浩司(慶大―現中日)よりも安定感は上と見る。
広陵高校時代から注目されたが大学進学。1年春にデビューし2年では先発機会も与えられた。だが一本調子で力任せ。制球を乱し走者をためて本塁打を浴び、ゲームを壊すことも。
そこに転機になる出来事があった。3年春の日米大学野球代表選考合宿。一つ上の学年の大瀬良らから刺激を受けた。「いい投手は8割ぐらいで力まず投げて、コントロールよく四球を出さない」ということを再認識した。
それから約二か月後、それを確認することに。練習試合でデッドボールを受ける。左足小指を骨折したが投げることができた。
「ケガの影響もあるので力を抜いて投げたんですが、球速が落ちることもなく、コントロールされたボールが行きました」
シュート回転もなくなりケガの功名になった。
それまでは防御率が5点、6点台のシーズンもあったが、3年秋のリーグ戦では50回を投げて防御率0・72。与えた四死球は7つという文句のつけようのない内容だった。続く4年春でも52イニング、与四死球6、防御率1・38。
この安定感はアマチュア球界では群を抜く。自身でも「質が変わった実感がある」と言っている。速球は9回でも150(最速156)キロを超えるが、スライダー、チェンジアップ、カットボールを多投し技巧派を意識しているという。