打たせてアウトを取る――完成度はナンバーワン。有原航平(早稲田大学)は省エネ投法でプロ入りを目指す!
各球団の有原航平に対する評価は高い。即戦力投手として指名を検討している球団は複数あるといわれている。あえて不安をあげるならば、今秋はヒジの違和感を覚えている点だろうか。
2014/10/19
逆境にこそ、周りに感謝せよ。恩師・中井監督の言葉を胸に
「球数を少なくして、打たせて取るピッチングが理想です」
それは守る野手のリズムのことも考える、エースの投球術でもある。
早大・岡村猛監督も「体力、技術、精神力も成長してきた。まだ足りない部分もありますが、プロでローテーションを守ってエースになれる投手だと思います」とそのポテンシャルを認める。
今年の夏キャンプでは走り込みを多くした。地道に下半身を鍛えることをいとわない。
広陵高校の中井哲之監督によれば「運動神経もさほど高くないし不器用な子」と言う。「だからコツコツ、努力する子なのだ」と。それがプロでの成功の最も近い道になる。「素材は先輩の野村より上ですよ」と期待を寄せる。
「ありがとう」。有原の大事にしている言葉だ。尊敬している中井監督が監督室に掲げていて、身に沁みこませろ、と常々、口にする。
「逆境にこそ周りに感謝しろ。そうやって男になっていくんです」(中井監督)。
今秋のシーズンは開幕前にヒジの違和感が出て、関係者を不安がらせた。初先発をした立大戦も6回を投げて4失点。甘いボールを本塁打されるなど万全な投球には程遠く大事なゲームの敗戦投手になった。まさに本番テスト前、最後に逆境だ。
大学野球締めくくりのゲームと運命の日、「ありがとう」と言える秋になるか……。