大化けの予感大! 強気と繊細さを兼ね備えた〝日大のジャイアン〟
いよいよ今週23日に行われる「プロ野球ドラフト会議」。将来有望な選手たちが運命の瞬間を待っている。今回は、「戦国」とも称される東都大学野球にあって、2部リーグ在籍と日の目をあまり見てはいないものの、キラリ……いやギラリとした異彩の存在感を放つ個性派左腕を紹介したい。
2014/10/20
Yu Takagi
幼少期から変わらぬ負けん気で体重20kgアップ
今回のドラフト会議において、指名候補となっている大学生投手の名前を挙げていくと、有原航平(早稲田大)、山崎福也(明治大)、山崎康晃(亜細亜大)ら1位指名の筆頭候補たちは皆「180cm以上の長身で均整のとれた体格」の選手たち。当然これは高校生、社会人の多くの有力投手や、プロ野球の多くの投手にも当てはまる。
だが今回紹介する戸根千明(日本大)は、175cm93kg(本人申告)。そして胸囲は120cmを誇るなど筋骨隆々のその風貌は、どちらかというとプロレスラーの体型に近い。
戸根が体重増を意識し始めたのは大学2年時。メジャーに渡ったダルビッシュ有(レンジャーズ)が体重増加に取り組んだことを知り、ウェイトトレーニングとそれに伴う食事量の増加を決めた。
「気に入らん奴とはすぐにケンカしていたクソガキ」と本人が振り返る幼少期から変わらないその負けん気で、多い時で1日8回の食事に、わざわざアメリカから取り寄せるプロテインの摂取、そして徹底したウェイトトレーニングを敢行。
周囲の部員が「ちょっと引いてしまった」と話すほどの取り組みで、高校時代は70kgほどだった体重がみるみるうちに増えていき、入学時より20kgも増した現在の体型ができあがった。
ベテランスカウトが示唆する大化けの可能性
ユニフォーム姿を見て「太りすぎだ」と感じる者は多いと思うが、ユニフォームを脱ぐとしっかり胸が腹よりも出ており、その体型を存分に使ったサイド気味の角度から放たれるストレートはMAX147km/hを誇る。
「10球中1球ぐらいですごいストレートが来る。このストレートを磨いていけば大化けする可能性もあるね」とプロ球団のベテランスカウトは舌を巻いている。
また変化球も、シンカー気味に落ちるチェンジアップを中心に、カウントを整えるスラーブ(スライダー系カーブ)や、右打者の内に切れ込む(左打者の外に逃げる)カットボールも実戦で決め球として使えるレベルに仕上がってきた。
制球力とスタミナもあり、今秋は8試合を投げ延長完投2試合(13回と11回)を含む東都2部リーグ投手最多の63回を投げ、与えた四死球は20個。9回あたりに換算すると2.88個と自ら大崩れすることのない安定した投球を見せた。
「体と投げるボールの力強さからくる馬力をとても感じる投手。体力があって大きな怪我もこれまでない。先発・中継ぎどちらでもいけそうだ」と、自らも現役時代に中継ぎ左腕としてシーズンをフル回転していた、あるスカウトもその使い勝手の良さにも太鼓判を押した。