07年夏、甲子園を沸かせた広陵の核弾頭・檪浦大亮の今 悔いの残る大学野球を経て、野球人生のリスタート【2014年フェニックスリーグ通信】
07年の夏の甲子園、佐賀北対広陵の試合を覚えている方は多いはず。広陵のバッテリーは、野村祐輔(広島)、小林誠司(巨人)だった。そして、その広陵の1番打者を務めていたのが、現在愛媛マンダリンパイレーツに所属する檪浦大亮だ。
2014/10/31
Hideaki Ujihara
1日1日を大切に、何かを得たい
広陵を卒業後に進んだ関西学院大で、檪浦は満足いくプレーができなかった。
1年春からデビューを飾るなど幸先は良かったのだが、チーム方針と合わなかったのだ。
「大学で指導方針など納得できなくて、上手くいかなかったんですけど、人のせいにしてしまっていたんですよね。高校の中井(哲之)先生もかばってくれはしましたけど、結局は、自分がやらないといけないことだって、わかってはいたんですけど、できなくて……。今思うと、なんでもっとちゃんとやっておかなかったのかなって」
人生とは失敗と反省の繰り返しである。その中で何を学び、勝ち得ていくか。檪浦は、そのことを広陵で学んでいたから、こうやって再びやりなおす決意をした。
「人のせいではなく、自分がやれば、なんとかなる。愛媛にお世話になる前に、中井先生にあいさつに行ったら『悔いを残していると思うから、やりきって、次の人生を大事にするために、勉強してこい』と言っていただけました。愛媛に来て、監督やチームメイトに刺激を受けて、この1年で僕自身も成長できた。愛媛に来て良かったです」
感じる力を持っている。さすがは広陵出身の選手である。
07年夏の決勝、佐賀北との戦いから学んだものは何かと尋ねると「諦めてはいけないし、油断しても行けないということ。最後まで何が起きるかわからないと思うようになりました。野球だけでなく、日常の生活においても」と応えてくれた。
では、このフェニックスリーグではどんな思いでプレーしているのだろうか。
「結果にはこだわって、ここにいるNPBの選手たちに負けたくないし、負けるとも思ってない。結果を残せると思って気持ちで負けないようにするということ。でも、その一方で、やっぱり、彼らは真のプロなので、いいところがたくさんある。そこを盗んだり、引き出しにする勉強にしたいですね」
この先の目標が決まっていないという檪浦。来年も野球を続けることさえ、模索中なのだそうだ。このフェニックスリーグが彼に何かを与えるのかもしれない。
「この1年間でやりきろうと思っていたので、来年のことはまだわからないです。周りの人がもう1年やってみればと言ってくれて、家族も賛成してくれている。まだ迷っているんですけど、こういうところでも出させてもらっているので、今を楽しむじゃないですけど、1日1日を大切にしながら、何かを得ていきたいなと思います」
実は、檪浦と話をするのは2回目だ。彼が大学1年の夏に、ある雑誌のインタビューで話した。檪浦が腐るちょっと前だったということになるが、人生には様々なことが起きる。
あのときは腐り、その野球人生に暗雲が立ち込めた。でも、檪浦は再び、立ちあがった。 人生は何度でもやり直せる。それが何より素晴らしいことではないか。
また、彼に会うような気がしてならない。
彼が人生に何かを見つけ出した時、経験を糧にして再会する、そんな予感がする。